サイリウム考

先日の12月8日、バンダイナムコゲームスの直販サイト「LaLaBit Market」にて、来年2月の冬ライブの事前物販として「公式サインライト」「765プロ プロデューサーマルチバッグ」「765プロ プロデューサーベンチコート」765プロ プロデューサーパーカー」の販売が始まりました…が、中でも「公式サインライト」は速攻で完売・受付終了しました。

その後、再度追加の販売がありましたが、やはり数時間と持たずに完売。ええ、買えませんでした。
と言うわけで、ちょっと愚痴でも…じゃなかった、サインライトに関して書こうかなぁ、と。

始めに

このカテゴリーの商品に関しては色々な呼称があるために、どれを使えばより正確に伝わるのか迷うんですよね。
ライブに持ち込んで観客が客席で(勝手に)光の演出をする道具、と言う意味合いにおいては「コンサートライト」、「サインライト」と呼ばれます。
ライブ主催者側が配布したり指示・要請したりする場合もあるので、必ずしも勝手演出ではありませんが、

よく使われている「サイリウム」と言う呼称の元々は、世界初の「ケミカルライト」の商品名「サイリューム(CYALUME)」が変化したものとされています。サイリュームは商品名なので、商標権侵害にならないよう、このカテゴリの商品の総称として「サイリウム」と呼ばれるようです。

「ケミカルライト」とは、直訳すれば化学式照明・化学式光源。折り曲げる事でケース内のパーテーションが壊れ、分けられていた二種類の溶液が混ざる事で化学反応を起こして発光します。
本来の用途は「使い捨ての照明」です。軽量で携帯性・保存性に優れ、火を使わず熱もあまり持たないので、防災用品に最適です。
尚、某ツインボーカルユニットの命名由来から「化学反応」と言う意味合いで「ケミストリー(Chemistry)」と言ってドヤ顔する人が居ますが、それを言うなら Chemical Reaction あるいは Chemical Change です。肝心な方を省略して「化学!(どやぁ)」とされると噴き出しそうになるので勘弁してください。

本来ならば、「サイリウム」とはこの「ケミカルライト」を指していた筈ですが、後に電池式の照明も「サイリウム」と呼ぶ人達が出てきました。
実際問題、「ケミカルライト」と電池式のライトは区別しないと都合が悪い場合が多く、何でもかんでも一括りに「サイリウム」と呼びたがる人へ抵抗するが如く、「電池式サイリウム」「LED式サイリウム」と言う呼称も生まれています。

電池式のライトは、そもそもは単なる「LEDライト」を出自としています。日本の古い表現では「懐中電灯」、この発光部分に半透明な(完全透過ではない)筒を被せ、「ケミカルライト」と似た光る棒状(ライトスティック)にしています。
交通整理・誘導に使われる「誘導灯」と似ていますが、直接の関係はありません。ふざけて(会場外で)誘導灯を振る人は居ますし、誘導灯を用いた「交通誘導を兼ねるダンスパフォーマンス」と言うのも昔から存在しています。

LED式のライトスティック(光る棒)は元々は手作りだったため、振ってると外れて飛んだだの、先端処理がされてなくて光がそのままスティックの延長線上を照らして迷惑になるだのと言う問題もありましたが、後に「コンサートライト用途に作られたLED式のライトスティック」が市販されるようになりました。
で、御存知の通り「市販品のみ・改造禁止」と言う様なレギュレーションが生まれた次第。

「ペンライト」と言う表現もあるんですが、これがまた中途半端で…。
えーっと、コンサートライトの習慣が生まれる前は、ペンの後ろに小さなライトが付いているモノを指してたんですよ。文字通り「ペン+ライト」だった。
ところが、いつの間にか「ペン形状のライト」の意味から「ケミカルライト」を「ペンライト」と言う商品名で売ってる人達が居たみたいです。
アイマス公式のライブグッズでも5th辺りで「公式ペンライト」として「ケミカルライト」を販売していました。

光害と規制

コンサートライトの習慣は、常に周囲との摩擦がありながら広まって来ました。
そりゃまぁ、棒を振り回してりゃ周囲に当たる事もありますし、すっぽ抜けて投擲武器になるかも知れません。
更に、コンサートライトの習慣が定着してからは「より派手に」と言う軍拡競争が始まってしまいまして、やたらと長い物を用意したり、より多くの光量を追及したり、と。周囲にしてみれば、危ない上に眩しい。

かくして「他のお客様のご迷惑になる」ものになってしまったわけです。
コンサートライト使用者が極少数であれば、あっさり全面禁止になったんでしょうけど、既に広く定着し、多くの観客が折り合いをつけて穏当に楽しんでいる場合、単純に全面禁止するわけにも行きません。
そのため、レギュレーションを設けて極端なものだけを取り締まる形になりました。

現在のアイマスライブの規制

まず、化学式照明(ケミカルライト)の場合と電池式照明(LEDライトスティック)の場合の共通のルールとして「長さ25cm未満」と言うのがあります。

化学式照明(ケミカルライト)の制限はこれだけです。
化学式は一般人が自作する事が難しいため、この規制の範囲の現行の市販品であれば問題無いと言う判断でしょう。
例えば、将来的に「長さ25cm×幅25cmの板状のケミカルライト」等と言う頭の悪い代物が出現したら、やはり「他のお客様のご迷惑になる」として規制が追加されると思います。
また、もしも一般人が自作するようになったら、「市販品以外禁止」と明記されるかもしれません。

電池式照明(LEDライトスティック)の場合、更に「無改造の市販品」「ボタン電池使用」と言う制限があります。
これは恐らく光量規制を意図したものと思います。一般的に市販のLEDライトスティックで用いられているのは、ボタン電池「LR44」を3枚直列にして4.5V、あるいは「CR2032」を1枚で3Vと言った辺りでしょうか。電圧が高ければ高いほど高輝度のLEDをたくさん光らせる事ができますが、ボタン電池を5枚も10枚も重ねても、容量が小さく短時間しか使えないため、電圧を上げるのであれば同時に容量も増やすために単四形ないし単三形の乾電池を直列で使うのが自然な形です。(誘導灯では単一形もあります)

単純にこのレギュレーションを突破するためだけに、ボタン電池を多数重ねて電圧と光量を上げる製品を作る事も出来なくはないでしょうが、もしもその様な「市販品」が登場した場合は、ボタン電池式についてより詳細な規制が掛かるか、正規許諾品以外の電池式がまとめて規制されて使用禁止になるか、のどちらかだと思います。

公式の案内では「機材の破損」と「周りのお客様のご迷惑になる」を理由に挙げていますが、長さの規制は兎も角として、ボタン電池使用に限定する事は、前述の理由とは直接的には結び付きません。
これは憶測ですが、光量および電圧で規制する事は現状では困難なため、より分かり易く「市販品である事」「ボタン電池式である事」と言う規制になっているのだろう、と。
個人的には、単三形電池ならばeneloopの様な充電池での運用が可能になるため、エコノミーかつエコロジーで宜しいのではないかと思いますが、規制の運用上「分かり易さ」に勝るものはありませんから、「光量や電圧で規制してボタン電池以外も解禁してくれ」とは言い難いです。

規制は強化され得る

現時点のアイマスにおいてはその兆候はありませんが、トラブルになれば、あるいは、演者を害する事態が起きれば、コンサートライト全面禁止と言う事態は充分に有り得る事です。
前述の通り、「他のお客様のご迷惑にならないように」と言う規制意図を無視し、現状の規制の範囲内で迷惑になるものを用意すれば、次回は規制がより厳しくなります。
細々と分かり難いルールを作っても、分かり難い故に守れない、と言うクレームに繋がりますから、いたちごっこになればより大雑把なルールで纏めて規制されてしまいます。

例えば、来年1月に武道館で行われる(アイマスからも4人が参加する)「リスアニLive-3」では、「一度に持つのは片手に1本まで」と言う珍しい規制が掛かってしまいました。
アイマスの4人がステージに上がる時、腕が4本無いと全員の色をカバーできないわけです。

  • リスアニ!LIVE : 観覧に関する諸注意とご協力のお願い
    • ペンライト・サイリュームは市販品のみご使用可能です。長さ25cmを超えるもの(誘導灯や改造されて規定を超えるもの)、改造・自作されたものは使用禁止です。またペンライトやサイリューム、フラッグを指の間に挟んで熊手の様な状態にして腕を振る行為は禁止とさせていただきます。一度に持つのは片手に1本までとさせていただきます。
    • 大声を張り上げる、音を鳴らすなど公演の妨げとなる行為、両手を左右に激しく振る、回転する、腕を振り回す、上半身を反らすなどの通称「オタ芸」と呼ばれる応援行為、過激なジャンプ行為は禁止とさせていただきます。

ちょっとキツイなぁとぼやきつつも、この規制の意図は分かるんですよ。
7thの横浜アリーナにて隣の隣の席にいた人は、ウルトラグリーンを片手に4本使用していました。
いわゆる「バルログ」ですね。指と指の間に1本ずつ挟み、複数のケミカルライトが拳から扇状に生えます。
これだけであれば、まぁ、ちょっと眩しいなぁと言う程度なんですが、この拳を単純に上下左右に振るのではなく、手首をくるくると返すと…あら不思議、その扇の光が視界を完全に遮ってしまいました。
バルログって動かし方次第で「線」の光を「面」に出来るんですね。自分も「THE IDOLM@STER」等の全員曲では両手でバルログする事が多かったのですが、今後は気を付けようと思いました。

自分が迷惑に感じて、初めて複数持ち・バルログの危険性(有害性)に気付きました。
「他のお客様のご迷惑にならないように」であれば瞬間発光量や発光面積を規制する必要があり、その結果として「片手につき1本まで」となってしまったのでしょう。
光害問題は電池式だけの話では無いわけです。

総括

ライブ運営側の規制の意図は、明確になっていると言えると思います。
化学式であれ電池式であれ、それが事故に繋がったり、他の観客の迷惑にならないようにしたい。

であれば、「現在の規制に抵触しなければ何をしてもよい」ではない事は分かりますよね。
例え現在の規制に抵触していなくても、それが事故に繋がったり、他の観客の迷惑になれば、いずれは規制強化により禁止されてしまう。

サイリウムのすっぽ抜け投擲(いわゆる「シューティングスター」)にしたって、コンディションの自己管理の問題であり、ライブ中に握力が落ちてきたら回復するまで自重すればいいだけの話です。
自分を律し、周囲に配慮して、「今この瞬間に俺さえ楽しければいい」ではなく、次回・次々回の可能性を狭めない「持続可能性のある楽しみ方」をしたいものです。

余談

ちょっと手持ちの電池式を確認してみました。

まず「大電光改」、ケミカルライトでも御馴染みルミカ社の商品ですね。
ボタン電池LR44を3枚使用します。軽くて細いので持ち易いですが、電池蓋の固定が弱いのが難点。
スイッチが誤操作し難いのは評価されるべきだと思います。

次に「ターンオン・ネオンスティック」、コンサートライトをペンライトと言い出したのはこいつらじゃないかと疑ってるターンオン社の商品。
私が持っているのは正確にはターンオンの同等品で、ミンゴスのライブ公式グッズとして売られた通称「ミンゴス棒」です。
ボタン電池LR44を3枚使用します。発光部は太いけど、下の方が細いので持ち易いです。
ただ、握りの部分がスイッチ兼電池収納部の蓋になっているため、振っているとOFFになったり蓋が抜けそうになる事も。
同社の製品の中では光量の少ないモデルです。

既に現役を退いていますが、一番の安物「ピカピカ棒」、100円ショップで売られています。
これ以前に紹介した2種類は「色の付いた半透過の筒を高輝度白色LEDで照らす」構造なのに対し、このピカピカ棒は「高輝度ではない色付きのLED」を4灯縦に並べています。
ボタン電池LR44を3枚使用し、売られているのは赤・青・緑・白の4種類。更にこのLEDを交換してオレンジ、イエロー、ライトグリーン、セルリアン、パープル、ピンクを作りましたが…改造品は禁制となってしまいましたのでお蔵入り。
これは安物だけあって作りが悪いです。LEDは細長い基板上に半田付けされてますから、基板の裏からだと光が暗いですし、電池蓋はプラスドライバーが無いと開閉できません。端的に言ってショボイ。手軽にLED交換ができて、LEDそのものの色を楽しめる事が長所だったのですが、改造禁止となった現在は何の利点も無い事に…。

引き続き禁制品となっております「カラフルビーム」、プレイアベニュー社の商品です。
ダイヤルスイッチによる操作で12色+グラデーション変化4パターンと変化する多色タイプです。
単四形乾電池3本使用のためライブには持ち込めませんが、ライブ以外の時に「念のため」鞄に入れておくことがあります。
単四形乾電池タイプの宿命で、握りの部分がとても太いため複数持ちはできません。

最後に「KING BLADE X10」、 ルイファン・ジャパンの御存知キンブレシリーズ、X10と書いてテンと読むそうです。
これも単四形乾電池3本使用で、柄尻のボタンを押す度に12色順番に色が変わります。
アイマスライブに持ち込めないものを買う必要も無いかと思いましたが、コンサートライトを使うのはアイマスの現場だけじゃないですし、ルイファン社はルミカ社から製品情報を盗んでいたと言う事で逮捕者が出てしまい、この製品は回収になるかも、との噂を耳にして思わず買ってしまいました。現在までに回収にはなっておらず、お店では普通に売られています。←情弱乙

ターンオン社だと「サンダーネオンスティック」シリーズ、キンブレシリーズにも「X10」より輝度の大きい「MAX」と言うモデルがありますし、「カラフルビーム」も光量はほどほどですね。今のところ規制対象なので関係無いと言えば関係無いですが、光量の軍拡に手を染めると周囲の人の迷惑になりますから、個人的には「ほどほどの光量」で「操作し易い多色ライト」が望ましいと考えています。
コミケで少し触らせて頂いただけですが、「シナモンブレード」もいいと思います。

このエントリーを Google ブックマーク に追加
[`evernote` not found]
LINEで送る
LinkedIn にシェア

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

機械投稿阻止のための画像認証 * Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.