冬ライブに間に合わせるべく製作していた「新型」こと ver.2 ですが、途中で採寸ミスに気付いて作り直しになった上に、ライブ前日になって強風対策が必要になり、時間的に間に合わないと言う判断から、冬ライブでの使用を見送りました。
(冬ライブは「旧型」に改修を施した ver.1.4 で参加)
で、この ver.2 については他にも自分で納得していないまま進めていた部分があり、妥協の跡が目につくため、結局は完成させずに放棄する事に。
ちゅーこって、ver.2 の完成一歩手前のところまでの製作過程を御紹介します。
目的
そもそも今回のリプレイスは小型化を目的としたものでした。
幾度か小改修を重ねた初代(Ver.1.3)でも大きな不都合は無いのですが、移動時や保管時のハードルを少しでも下げる事、そして、首から上のサイズと首から下のサイズのバランスを適正化するため、Pヘッドのサイズをギリギリまで小型化したいなぁ、と。
一方で、小型化によりPヘッド内のリアルヘッドの稼動自由度が下がる事から、居住性と言うか快適さは損なわれるだろうと言う予測と覚悟があります。これから作るPヘッドは現在まで使ってきたPヘッドよりも(長時間使用時に)「肩がこる」はず…
要件
- ver.1.3 よりも小型化する(目標:縦・横・奥行きにおいてそれぞれ少なくとも1割以上)
- ver.1.3 の肩掛式を改め、頭掛支持を模索する
- 上述の改善点以外の仕様は概ね Ver.1.3 を踏襲する
a. は最初に「目標」で述べた通り、ポータビリティ(可搬性)や視覚バランスを鑑みたものです。
装着者が身体も含めてSD(スーパーデフォルメ)化できるなら、頭が過度に大きくても気にならないでしょうが、「普通のアスペクト比(縦横比)の身体」の上に大きな頭が乗って四頭身ぐらいになるのは、どうにも見栄えが悪い。
1割ちょっと縮めたところで無駄な足掻きかも知れませんが、少しでも頭身バランスを改善できるといいな、と。
大きくする分には幾らでも大きく出来るでしょうけど、その結果は「悪目立ち」だと思います。
「Pが目立ってどうする」
全く仰る通りです。我々Pは存在感を出してはいけない。
「頭が大き過ぎてアンバランスであるが故に、滑稽で目立つ」と言う状況と、「頭が限り無く自然なバランスであり、違和感を感じないが故に目立たない」と言う状況を比べれば、後者の方がcoolだと思います。これまでは大き過ぎて目立っていた。それを少しずつでも改善していきたい、と。
「いや、頭が小さくても違和感はあるし十分に目立ちますよね」
あ~あ~、聞こえな~い、聞こえな~い
b. は「Pヘッドを身体の何処で支えるか」と言う構造の問題。
これまで使ってきたPヘッドは「箱」をそのまま被っているようなもので、箱の縁(左右の側板)を肩の上に乗せる事で支えられていました。この構造だと首が露出しません。
「ぷちます!」のP頭の場合、P文字の垂直線と首が同一化して肩の間から生えている形ですが、首の上に頭を置き換える形でP文字が来る表現の場合は首が見えていなければなりません。まぁ、どちらの表現を採用するかは個々の好き好きなのですが、7th横アリで他の方のPヘッドを見て「首が露出しているのもいいなぁ」と思ったので、今回は肩から浮かせて頭で支える形にしたい、と。
もうひとつ、2012年12月末日段階で「パク※の実装」と言う課題が持ち上がったのですが、構造の複雑化、それに伴う重量増など、アイデアはあれど実装上は問題山積みのため、今回は断念する事になりました。
これ、実現すれば大受けだと思うんだけど…どなたか挑戦しませんか?
- 口パク、キャラクターが喋るのに合わせて画面内のキャラクターの口が動く事です。
長らく「Pヘッドには(外観の通り)口は存在せず、それ故に口パクも起こりえない」と思われてきましたが、アニメ「ぷちます!」の公開により「Pヘッドは顔の前面を震わせる事で発声しており、その動きこそが口パクである」と判明。その斬新な事実は世のPヘッダー達に「お前あれできるの?」と新たな課題を突き付けたのです。…ゴメンナサイ無理でした勘弁してください
準備
これ以降、前回「Pフェイスを作ってみる」で御説明した事柄との重複も結構ありますので、お読み頂いた方はテキトーに飛ばし読んで頂ければと思います。
次回以降は繰り返しになる説明は書かないようにします。
では、まずは基本素材から。
プラダン
プラスチック(より詳しくはポリプロピレン、いわゆる「PP」)を素材とした段ボール状のシートです。
「プラスチック段ボール」の略で、ダンプラ、プラベニ(プラスチックベニヤ板の意)と呼ばれる事もあります。
- 段ボールシートに「似た」構造を持つパネルであるためにその様に呼称されているだけで、段ボールシートと同一の構造と言うわけではありません。
その差異を具体的に言えば、段ボールシートではライナーとライナーの間に波状の中芯がある三層の構造ですが、プラダンは二層のライナーの間に垂直に梁が張られている感じ?
元々の用途は、流通業界において輸送物を保護するための「養生材」です。
建築現場ではガラスパネル等の輸送対象物を保護するだけでなく、資材の搬入搬出時に「建築物内の既に仕上がり状態になっている壁材・床材」を傷付けないよう、壁面・床面を覆う状態に貼り付ける事もあります。
ホームセンター等で1枚単位で購入でき、そこそこ安いです。(養生材は消耗品であるため)
面ファスナー
いわゆる「マジックテープ」(※株式会社クラレの商標)です。
「ベルクロ」(※ベルクロUSA社の商標)とも呼ばれます。
商標に引っかからない一般名称としては、「面ファスナー」や「パイルアンドフック」となります。
片面にパイル(ループ)状の起毛が生えたシートと、片面にフック状の起毛が生えたシートがあり、その2種類の起毛面同士をくっ付けると、フックがパイルに引っ掛かり、面と面とがくっつく仕組みです。
プラダンを切り出したパネル同士を繋ぐのに用います。
再度「分解」する事を考えないのであれば、プラダン同士を組み立てた後にそのまま接着剤で繋ぎ合わせてしまっても構いません。しかし、再分解できるようにしておいた方が、収納や搬送はもちろん、組み立て後に追加の加工をする際にも都合がよいのです。
私は片面に糊が付いているものを使用していますが、面ファスナーのシート自体がポリプロピレン素材である事が多いため、前述のプラダンを接着するのと同じ接着剤を使い回せるはず。
短いものは百円均一の手芸コーナー等でも扱われていますが、ホームセンター等でメーター単位で買った方が長さあたりの単価は安いです。
その他に必要なもの
- 接着剤(素材に合わせて選ぶ必要があります。ここでは「ボンドGPクリヤー」を使用)
- 養生テープ(接着時の固定とマスキングに使います。ここでは「バイオランクロス 透明」を使用)
- カッターナイフ(百円均一のもので充分だが、小さいものより大きなものの方が扱い易い)
- 定規(30cm以上の金尺と20cm程度のものと2本あると便利)
- コンパス(ボールペンを付けられると好都合)
- カッティングマット(小さ過ぎると使い難いです。無ければダンボールでも敷きますか)
だいたいこんな感じ。
作業の概要(これからやること)の確認
プラダンを、
切ったり、貼ったりして、
立体の「P」字型を組み立てる!
設計
まずは設計です。
と言っても、組みながらディテールを掘り下げて行く部分もあり、この時点で決められるのは大まかなサイズぐらいのものですけどね。
サイズの決定
最初に決定されるのは、自分の頭が入る部分のサイズ。
段ボール等を折り曲げて四角柱を作って被り、装着感を確かめながら大きさを調整します。
あまり小さくし過ぎると、眼鏡、鼻、耳などが潰れますし、呼吸が妨げられて息苦しくなります。
逆に大きくし過ぎると、首から下の身体のサイズとのアンバランスさが増しますし、頭に対する箱の相対位置の自由度が高過ぎて箱が自重で大きく動き、少し体勢を変えただけで側板が勢いよく頭を叩く事になります。
更に、側面に穴でも開けて鏡を見て、高さのバランスも確認すると良いでしょう。
この先の説明の都合、ここでPヘッド各部の呼称を定義しておきます。
私の場合は、本人から見て左側、相手から見て右側から正しく「P」字型に見えるPヘッドです。
顔の正面側を構成するただの鉛直線、サンセリフな「I」字型を描く部位を「フロントパネル(f)」と表記します。
装着者本人から見て左側(向かって右側)、正しく「P」字型に見える部位を「レフトサイド(p)」
装着者本人から見て右側(向かって左側)、鏡文字の「P」字型に見える部位を「ライトサイド(q)」として、
この二つを合わせて「サイドパネル(p/q)」と呼称します。
装着者の頭の直上、「P」字においては鉛直線の一番上から右へ伸びる横棒を「トップパネル(t)」とします。
「トップパネル(t)」から続いて「P」字の右側を半円弧を描いて下に下りてゆく部分を「バックパネル(b)」とします。
更に、半円弧の終わりから再び鉛直に戻って首の後ろへを落ちる部分を「ネックパネル(n)」とします。
これでPヘッドを構成する全ての「面」(=パネル)を定義しました。
定義していない下側の面は、頭を突っ込むのに必要な開口部となります。
バランス調整
先程「段ボールの四角柱」を被って決定したのは、「フロントパネル(f)」の幅と「サイドパネル(p/q)」の鉛直部の幅(Pヘッドの鉛直部の奥行き)です。
これを基準として、その他の部位のサイズを紙上で検討していきます。
例えば、「」とか「」が一目で「P」字として認識されるのには無理がある事はお分かりでしょう。
鉛直部のサイズが確定していれば、水平部と半円弧部のサイズは自ずと「ある範囲」に収まると言うか、鉛直部に対してバランスが合う様に水平部と半円弧部のサイズを決めてゆく事になります。
- 設計は紙の上に縮めて描画するためにあまり制約がありませんが、実際に素材の上にカットするラインを描画する際には「半円弧を描けるガイドとなるもの」が必要になります。
半径2,30cmの円をボールペンで描ける様な大きなコンパスをお持ちであれば問題ありませんが、コンパスのサイズが足りない場合は大皿等の「大きな円形の物体」をガイドにする必要があるため、逆に半円弧部を「確保できるガイドのサイズ」に合わせて設計する事になります。
尚、私は「観葉植物の大きな植木鉢を乗せるプラスチックの鉢皿」をガイドに用いています。
プラダンと言う素材の構造(4mm単位のセル構造)上、ミリ単位で厳密にサイズを確定する事にはあまり意味がありません。
基本的にセルの真ん中合わせで切るか、セル壁際で切るかの2択であり、カッティング工程にてそれを考えながらサイズを丸める必要があります。
大雑把な性格でなきゃやってられねぇ素材だぜ。だが、そこがいい。
この前の時点で決まっているサイズが、
- 頭の縦方向の長さ→四角柱の縦サイズ→「サイドパネル(p/q)」の鉛直部の幅
- 頭の横方向の幅→四角柱の横サイズ→「フロントパネル(f)」の幅=「トップパネル(t)」の幅=「バックパネル(b)」の幅=「ネックパネル(n)」の幅
となります。
加えて、この時点で決めるべきサイズが、
- 「サイドパネル(p/q)」の高さ=「フロントパネル(f)」の高さ
- 「サイドパネル(p/q)」の水平部の幅=「トップパネル(t)」の長さ
- 「サイドパネル(p/q)」の半円弧部の大きさ(直径)
です。
当然ながら、「サイドパネル(p/q)」は半円弧部の半径+水平部の幅で最大部の幅が決まりますし、「サイドパネル(p/q)」の高さ-「サイドパネル(p/q)」の半円弧部の大きさ(直径)=半円弧の下に飛び出すP文字の首「ネックパネル(n)」の長さと言う事になりますね。
更に、半円弧部の大きさ(直径)が決まると半円弧部を構成する「バックパネル(b)」の長さも円周の半分として導き出せますが、加工精度によって「ずれ」が出てしまうので、これは後ほど実測します。
あと決めるとしたらP文字の囲いの中の穴の大きさぐらいかな。
サイズを検討しながら三面図を描きますか。
小中学校の「技術・家庭」科でも習ったと思いますが、三面図と言うのは「正面から見た図」「真横から見た図」「真上から見た図」のセットです。
「正面から見た図」はそのまま「フロントパネル(f)」に、「真横から見た図」は「サイドパネル(p/q)」になります。(「レフトサイド(p)」と「ライトサイド(q)」は単純に左右反転でOK)
Pフェイスの時の様に実寸でと言う訳には行かないかもしれませんが、1/2、1/5等の分かり易い縮尺をお勧めします。
パネルの組み方
三面図に少し書き足して、実際にどの様にパネルをカットするかを示す設計図(施工図)を作ります。
製図に入る前に、パネル同士をどの様に接続するのか、その方法を確認しておきましょう。
まずは折り曲げ。
2層からなるパネルの1層だけを切断し、パネルを曲げます。
曲げた面に接着剤を塗って(いわゆる「糊しろ」)、別のパネルに貼り付ければ、平面のパネルは立体物となります。
理屈の上では、4面を大きな1枚のパネルから切り出し、4回折り曲げて1箇所だけ接着すれば四角柱を作れる事になりますが、現実的にはPヘッドのサイズでそれをやる事は難しいでしょうね。
4面バラバラに切り出して繋いでゆくのが無難です。
「糊しろ」だけ別途切り出して、繋ぎたい2枚のパネル両方に接着するのもあり。
更に、片方は接着せずに面ファスナーを貼り付けておけば、後から分解できるのでコンパクトに収納できます。
製図
では、前述の三面図で決定した各パネルの寸法に、折り曲げて接着するタブ(糊しろ)を追加して設計図(施工図)としましょう。
ver.1.3 では「フロントパネル(f)」「サイドパネル(p/q)」「ネックパネル(b)」の4面を糊しろで接着し、「トップパネル(t)」と「バックパネル(b)」を嵌め込み&面ファスナー固定としました。
折り畳む際は「トップパネル(t)」と「バックパネル(b)」を外し、底と蓋の無い四角柱を斜め前方から奥行き方向へ潰す形になります。
4面を接着してしまったために再度開く事は出来ません。
ver.2 では「フロントパネル(f)」「サイドパネル(p/q)」の3面は糊しろで接着、「ネックパネル(n)」を「サイドパネル(p/q)」の両方に一体化して作り、組み立て時は折り曲げて2枚を重ね合わせ、面ファスナーで固定する事にしました。
面ファスナーを外さなくても旧型と同様に折り畳めますが、「ネックパネル(n)」を面ファスナー固定にした事で、追加の加工が生じた際にも四角柱をばらして平面に展開する事ができます。
墨入れ
プラダンのパネルに設計図(施工図)の「カットするライン」を書き写します。
- 「墨入れ」は模型製作においては塗装の一種ですが、木工では素材に「切ったり削ったりするライン」を引く事を指します。
プラダンはボールペンのインクが染み込まないため、指や消しゴムで擦れば描いた線を消せます。
間違えて切断しない様に「折り曲げるライン」はまだ描かずにおくか、別の色のボールペンを使いましょう。
また、あまり筆圧を掛けるとプラダンが凹んでしまいます。軽いタッチで描画しましょう。
切断
パネルに描かれた図形の外側から切断していきます。
カッターナイフと30cm以上の金尺(金属の定規)を使うのがおすすめ。
これからカットするラインに合わせてプラダンの上に金尺を置いて軽く押さえ、その金尺に沿わせるようにカッターナイフを軽く押し当て、「カットするライン」をなぞれば、簡単に切断できます。
一度に二層まとめて切り離そうとはせずに、幾度かカッターナイフでなぞって一層ずつ切り離しましょう。
- 二層まとめて4mmの厚みになりますので、一度に切ろうとすると「カッターナイフの刃をパネルに対して垂直に保つ」のが困難になります。垂直を保てないと、パネルの裏側の切断線がぐにゃぐにゃと曲がってしまいます。
- カッティングマットはあった方がいいです。作業しているテーブルに傷が付きます。テーブルを傷付けないように気を付けていると、指を切ります。百円均一に売られているようなマットだと小さ過ぎるかも。
素材自体はカッターナイフの刃に対してとても柔らかいため、力を入れる必要はありません。ゆっくり優しく、繰り返し、線をなぞって刃を進ませる事で、すぐに刃は素材を貫通します。
曲線部分が少し難しいかもしれません。
無理に刃を貫通させようとすると、パネルの表側と裏側とで大きな「ずれ」が出てしまいます。
作業工程中で唯一「怪我のリスク」があるので、落ち着いて、慎重に、時間をかけて作業しましょう。
折り曲げ
パーツをプラダンパネルから切り離したら、次に折り曲げ部分を加工します。
プラダンの二層の内、山折となる側の一層だけを切っていきます。二層とも切って貫通させてしまわない様に注意しましょう。
切った側が外側(山折り)、切らなかった側が内側(谷折り)になる事に注意して下さい。
接着
切断済みのパネルを繋げていきます。
分解や折り畳みを考えないのであれば、そのままパーツとパーツの合わせ目に接着剤を塗って合わせてしまえばOK、接着剤が乾くまでは養生テープやマスキングテープ(糊が強過ぎず容易に剥がせるテープであればなんでもいいです)で固定しておきましょう。
- 接着剤「ボンドGPクリヤー」の場合ですが、接着したい2パーツそれぞれに薄く塗布し、5~10分程乾かしてから塗布面同士を合わせると、瞬時に強力に接着され、外す事が困難になります。
乾燥させず、塗ってすぐに2パーツを合せた場合は、乾くまでの短い時間に力をかけてずらす事で位置調整が出来ますが、位置が決まったらずれない様に固定しておく必要があります。
作業に不慣れな間は後者、慣れたら時間重視で前者をお勧めします。
分解前提で考える場合は、パーツ同士を噛み合わせて固定するための切れ込みを入れたり、面ファスナーを貼り付けるためのタブを作る必要があります。
ここでは、「サイドパネル(p/q)」に作った「糊しろ」に接着剤を塗って「フロントパネル(f)」の左右に接着しました。
接着したい面から接着剤がはみ出さない様に、予め接着したい面の周囲を養生テープでカバーします。
位置がずれないように注意し、接着剤の説明書き通りの手順で作業しましょう。
- この「サイドパネル(p/q)」の「糊しろ」は上側を4mmほど短くしています。理由は後述。
「ボンドGPクリヤー」の説明書きには乾くまで1日置いておくように書かれていますが、15分も経てば貼り直しは出来ない程度に強力に接着されます。
ただ、力をかければずれてしまう可能性があるので、念のため完全に乾くまでテープで固定しておきましょう。
仮組み
接着剤が乾燥したら、実際に折り曲げて組み立ててみましょう。
この段階で、「サイドパネル(p/q)」の後方側の2枚の「ネックパネル(n)」を重ね合わせ、面ファスナーを貼る位置を決めます。
これでなかなか様になったんじゃないかと。
残るは「トップパネル(t)」と「バックパネル(b)」です。
固定タブの追加
「サイドパネル(p/q)」の内側上方に「固定タブ」を設け、面ファスナーを貼り付けます。
実際に「トップパネル(t)」を置いてみましょう。
「バランス調整」の際に、
「フロントパネル(f)」の幅=「トップパネル(t)」の幅=「バックパネル(b)」の幅=「ネックパネル(n)」の幅
と書きましたが、実はこれは正確な数値ではありません。素材の厚み(4mm)を考慮していませんし、「トップパネル(t)」は「フロントパネル(f)」と2枚の「サイドパネル(p/q)」が『 冂 』を描く中に嵌め込むため、「フロントパネル(f)」と「サイドパネル(p/q)」を繋ぐ「糊しろ」のアール(曲線)によっても幅が変わります。
そのため「トップパネル(t)」の幅は「フロントパネル(f)」の幅とイコールではなく、一回り小さくなるはずです。
仮組みをして、『 冂 』の内側を実測してから「トップパネル(t)」を切り出すのが良いと思います。
「トップパネル(t)」を『 冂 』の内側に嵌め込む際、「サイドパネル(p/q)」の「糊しろ」の上側、4mm縮めた部分の「トップパネル(t)」が乗っかる形になります。ぴったりのサイズで作れば、嵌め込むだけでぴっちりと固定されるはず。
反対側は先ほどの「固定タブ」で支える形になります。
固定タブに対応した位置に面ファスナーを貼れば「トップパネル(t)」は完成です。
曲面の作成
こちらも前述の「トップパネル(t)」と同じ(「フロントパネル(f)」より一回り小さい)幅になります。
長さも仮組み後に巻尺などで実測してみるのが安心です。後で首後ろでの固定するための作り込みがあるため、実際の長さよりも少し長めに切っておきましょう。
さて、プラダンで曲面を作る方法ですが、2種類あります。
まず私の方法はこれ。「糊しろ」や「固定タブ」を作った時と同様に、折り曲げて山になる側の1層だけ切込みを入れています。
(冬フェスにて)私の他のPヘッド氏の中には、この様にしている方もいらっしゃいました。
自分には無かった発想なので、これを見た時はちょっと感動してしまいました。
前者は「弧の外側が伸びる様に」切っており、後者は「弧の内側が縮む様に」切っている事になります。
実物を至近で見比べれば一目瞭然なのですが、弧の外側から見た場合に切れ込みの無い後者の方が見栄えがいいです。
ただし、前者だと内側に面ファスナーを貼り付ける上で都合がいい。一長一短と言えるかも知れません。
私はこれまでずっと前者の方法でやって来たので、次回は後者も試してみたいと思います。
バックパネルの固定
一番面倒なのがこの「曲線状に曲げたパネルを固定する」事だったりします。
折り畳み収納を考えず、曲線状の状態で固めてしまえば簡単なんでしょうけれど、前段の通り切れ込みを入れたパネルは、自重も支えられないふにゃふにゃの簾の様なものです。
旧型では半円の上端と下端を面ファスナー固定タブで固定しましたが、今回は下端では「ネックパネル(n)」と「バックパネル(b)」が接するところでそれぞれにホゾとホゾ穴を作って差し込む事にしました。
組み立て時の順序としては、旧型では「バックパネル(b)」上端を固定タブに圧着してからパネルを下ろして「サイドパネル(p/q)」の円弧に這わせ、「ネックパネル(n)」の固定タブで留める流れ。新型では「バックパネル(b)」下端のホゾ穴を「ネックパネル(n)」のホゾに嵌め込んで、引っ張り上げるようにして中間と上端の固定タブへ圧着します。
未完了タスク
ライブの前々日の時点で出来ていたのがここまで。
あと少しで完成なのですが、ライブ前日に強風対策が必要な事に気付き、完成させずにお蔵入りとなりました。
当初予定していた作業は以下の通り。
アイスリットを開ける
このままではただ箱を被ってるのと同じです。前が見えません。アイスリット(覗き穴)を開けましょう。
アイスリットの視認性の低さは、このプラダンの「素材の特徴」がもたらす性質です。
まず、斜めから見た場合ですが、パネル自体の厚みが見通しを遮る事になるため、よほど近付かない限りスリットの存在は視認されません。
パネル表面に色を乗せているポリスチレンパネル(スチレンボード)と違い、断面も表面と同じ成形色である事の強みです。
次に真正面から見た場合、多少離れていてもそこにスリットが存在する事は視認できます。
しかし、パネルの遮光性が低く箱の中が明るいため、外から見てもスリット部分は真っ暗な穴とはなりません。
パネル表面とスリット部分の明度差が比較的小さく、パネル上でスリットの存在感が強調されない事になります。
- ただし、パネルの遮光性が低い(透過性が高い)事は弱点でもあります。
強い日差しに対して逆光となる位置から見ると、中の人の頭の輪郭が外からも見えてしまう事になるかと。
頭掛支持パーツ追加
当初「要件」にも掲げた通り、箱の側板を肩に乗せる形式ではなく、頭で支えて首を出す形式にするべく、頭に被せるような形状の「天井パーツ」を追加する予定でした。
形状も決まっており、材料も揃えていたのですが、手を付けないまま終了。
現状では肩掛け式のままです。
最後に
結局、実際に使用する事も無くお蔵入りにしてしまいましたが、今回の ver.2 は、もともと「Pヘッドの作り方を教えろください」と言う需要がある事を踏まえ、製作中に作業工程の撮影や文章化をしていたため、この様な形で紹介させて頂きました。
現在は、その後に作成した ver.3 を使用しています。
これは「常に改良を続ける試作モデル」と言うコンセプトで作り始めたため、「作り方」としてご紹介するには適さない部分が多く、記事化の予定はありません。
冬ライブでは累計5名のPヘッダーとお会いする事が出来ました。
私の過去のエントリを参考にしてくださったと言う方もいらっしゃいましたが、それでも、私にとって参考になる「違い」がありました。
また、プラスチック系軟質素材を用いた柔らかいPヘッドの方もおり、大いに刺激を受けました。
同じテーマ、概ね似たような外観でも、考え方は皆それぞれに異なり、違う実装で現れるのは面白いな、と。
皆さんがどの様なPヘッドを作られ、何処でどの様にお会いできるか、楽しみにしています。
Pヘッド類の制作・運用に関連するエントリ
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- Pヘッドはどんな自由な発想で作ってもいいんだ
- Pヘッドの雨天対応に関する課題メモ
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