テーマを絞ったピックアップの二回目は、みんな大好き(?)「ガチャ」。
昨今コンプガチャに勢いよく突っ込む人が増えて物議を醸しているアレですが、こちらでご説明しなければならない事は少ないので、前回よりはあっさりめになるかと。
どうやらこれは、現時点のソシャゲ全般において「収益のキモ」となっている様です。
裏を返せば、これさえよく理解して注意深く扱えば、課金がエスカレートしないと言う事でもあると考えます。
ガチャ
「ガチャガチャ」や「ガチャポン」等と呼ばれる「カプセルトイ自動販売機」をモデルとした「アイテムの売り方」です。
『一単位としては然程大きくない額を払って、当たり外れのある景品をゲットする』と言う販売形態自体は珍しいものではありませんが、それを「ガチャ」と呼び、「基本無料」等の運営形態のゲームにおいて主要な収益源とするやり方はネトゲ由来だと理解しています。
そして、モゲマスのような「カードゲーム風ソーシャルゲーム」におけるガチャの特筆すべき特徴は、それが運営側の収益の核であるだけでなく、ゲーム自体の核でもある、と言う事ではないでしょうか。
「カードゲーム風ソーシャルゲーム」は実体型商品で例えるならば、「トレーディングカードゲーム」ではなく「コレクションカード」に類するものだと思います。
マジックザギャザリングやヴァイスシュバルツではなく、ビックリマンやベースボールカードやカードダスである、と。
TCGプレイヤーがTCGにおいて「楽しむ」一番の勘所は、カードを組み合わせて戦略を練り、他のプレイヤーと勝負する事ですが、コレクションカードのコレクターの「楽しみ」は、カードを集める事そのものです。
そして、「お仕事」で得られるカードの種類が概ね固定的に限られている以上、「カードを集める事」は「ガチャを回す事」とほぼ同義になります。(他プレイヤーから買うと言う方法もありますが)
つまり、モゲマスにおける「ゲーム」とは、「ガチャを回す事」(が占めている部分が多いの)ではないかな、と思います。
ローカルオーディション
まずは、課金ではないガチャ「ローカルオーディション」について、
無料ガチャ
一日一回だけ、対価の支払い無しに利用できるガチャです。一回に一枚のカードが得られます。
ランダムに何らかの結果を出力する仕組みにおいて、Aの出る確率はX%、Bの出る確率はY%…等と定義したものを一般に「確率テーブル」と呼びますが、この「無料ガチャ」の確率テーブルは、この後の「ローカルオーディション」ガチャと同一のものと思われます。
「ローカルオーディション」ガチャ
ゲーム内の活動でプレイヤーが稼ぐポイントのひとつ「友情ポイント」を支払って利用するガチャです。
一回に「友情ポイント」を200pt支払い、一枚のカードが得られます。
現在モゲマスのカードには「ノーマル」「レア」「Sレア」の3つのレアリティ(稀少度)が設定されています。
基本的には全てのカードが出る可能性がある(確率テーブルに載っている)はずなのですが、「期間イベント限定」等、獲得できる場面が限定されていて、ガチャには含まれないカードもたくさんあります。
また、出る確率はレアリティ(稀少度)他に応じて確率テーブルに設定されています。
基本的に「ノーマル」ばかりで、ごく稀に「レア」が出ます。
個人的な体験から(感覚的に)言えば、「レア」の出る確率は「1%よりは多く、5%よりは少ない」です。
ちゃんと検証している方もいらっしゃるらしく、確かどこかで「3%」と聴いた様な…
「Sレア」もパーセントではなくパーミルの確率で出るらしいのですが(「0.33%」あるいは「3.3‰」)、私は引いた事が無いので都市伝説かもしれません。
このガチャの支払いに用いる「友情ポイント」は、ゲーム内で他のプレイヤーに「挨拶」をしたり、されたりする事で得られます。
また、ログインボーナスとして毎日400pt得られますので、毎日ログインさえすれば、前述の「無料ガチャ」と合わせて毎日最低3回は必ず回せます。
10回連続「ローカルオーディション」ガチャ
前述の「ローカルオーディション」ガチャを10回連続で回すものです。
一回に2000ptを支払い、十枚のカードが得られます。
手持ちの友情ポイントが2000ptに満たない場合や、所属可能アイドル数が残り10人を切る場合は、「10回連続」ではなく、手持ちポイントで回せる上限回数・所属可能な残り人数で表示されます。
「ローカルオーディション」と同じ確率テーブルでしょうから、一度ずつ回しても10回連続で回しても確率に差は無いのですが、10回連続の方が「レア」を引ける頻度が感覚的に分かり易いと思います。
前述の「1%よりは多く、5%よりは少ない」は、「10連ガチャを6~9回やれば1枚レアが出る」と言う感覚を%に置き換えたものです。
プラチナオーディション
続いて、課金ガチャこと「プラチナオーディション」について。
金を取るだけあって、「ローカルオーディション」とはルールが(と言うか、確率テーブルが)異なります。
「プラチナオーディション」ガチャ
300円を支払って利用するガチャです。一回に一枚のカードが得られます。
実際の支払いは「モバコイン」ですが、モバコインは100G=100円で購入して利用するため、便宜上こちらではそのまま円で表記しています。
「ローカルオーディション」とは異なり、確率テーブルに「ノーマル」を含まない、「レア」と「Sレア」のみで構成されたガチャです。
「プラチナオーディション」10回セットガチャ
その名の通り前述の「プラチナオーディション」ガチャの10回セットとなっており、3000円を支払って一回に10枚のカードが得られます。
ほとんどの場合は、更にもう1回「プラチナオーディション」ガチャが回せる「プラチナガチャチケット」や、スタミナドリンク、トレーナー等のゲーム内で有用なアイテムがオマケに付きます。
また、10回セットではなく1500円の5回セットとして販売される場合もあります。
コンプ「プラチナオーディション」ガチャ
時折行われる課金ガチャのイベント企画です。
過去2回の例では、そのイベント期間中しか入手できない限定「レア」アイドルが「プラチナオーディション」用の確率テーブルに6人追加され、その6人を全て集めると(直接購入のみ、トレード不可)、特典として限定「Sレア」カードを獲得できます。
コンプガチャ企画が行われている間は「プラチナオーディション」はまるっと企画の中に組み込まれます。イベント限定「レア」を含まない平常の「プラチナオーディション」の確率テーブルを選択してガチャを購入する事は出来ません。
先日まで行われていた最新のコンプガチャ企画「人は人、私は私」の場合、以下の様なラインナップがありました。
- 「人は人、私は私」コンプガチャ:1回300円(初回のみ100円)、レア以上(R/SR)確定+3000マニー付き
- 「人は人、私は私」コンプセットガチャ:1回3000円、レア以上(R/SR)確定×10回+プラチナガチャチケット×2+スタミナドリンク×3+エナジードリンク×3+ベテラントレーナー×1人
- 「人は人、私は私」コンプセットガチャ(2):1回1500円、レア以上(R/SR)確定×6回+スタミナドリンク×2+ベテラントレーナー×1人
ここで言う「コンプ」とは「コンプリート(complete)」の意味で、その企画限定の6人分のシートを埋めてコレクションを完成させると言うイベントの目的設定を示しています。
尚、この様な「売り方」と言うか「景品の出し方」は、法律的にグレーないしブラックだと言う指摘もあり、今後は変わっていく可能性があります。
- ねとらぼ / 日々是遊戯 : 「モゲマス」にニートショック到来! 「双葉杏」を求めて大金をぶっ込むプロデューサーが続出
- Togetter : モバイルSNSゲームが儲かる本当の理由。かーずSPはなぜ15万もつぎ込んだのか?
↑まず、この辺りは踏まえて頂いて…
課金ガチャ自体は受け入れつつ、コンプガチャだけ回避
今では「被招待権」(招待されてあげてもよくってよ、その代わりスタドリ寄越しなさい)が広く知られ、無課金でも「トレードに使える代用通貨の資産」をある程度抱えた状態でゲームをスタートできるようになっていますが、私が始めた時はまだ招待する側もされる側もそれが十分には認知されておらず、全くのゼロからのスタートでした。
で、その場合、中里キリさん等も仰っている様に、最初に課金ガチャを1500~3000円分ぐらい回すと、割と遊び易いです。
最初にも述べた通り、課金ガチャは収益のキモですから、課金ガチャを回した方が快適に遊べるように調整されてるんですね。無課金でも遊べると言うのは事実ですが、それはあくまで「遊ぶ事ができる」レベル、可能なだけで、快適とは言い難いのです。
だってさ、無課金でも快適に遊べたら、みんな課金しなくなるじゃん。モゲマス作ってる人、運営してる人、絵を描いてる人はどうやって食ってくんだよ。
とは言え、「被招待権」の行使により5000円課金相当の資産を得た状態でスタートすれば、その「快適に遊ぶための最初の3000円分の課金ガチャ」も、無しで行けるのかなぁ、とも思います。
まぁ、自分はその状態からのスタートではないので、実際にその状態からスタートした方の意見を伺わないと断言出来ませんけど、
で、話を戻して課金ガチャです。
ゲームを提供する側は、このゲームを「課金した方が楽しいよ」と言うバランスに調整します。
ですから、自分が納得できる範囲で課金する事が、このゲームを遊ぶ上で自然な姿でしょう。
いえ、私は別に課金を強いたいわけではありません。
ソーシャルゲームは、「課金した方が快適」な様に調整されていると同時に、「課金無しでも遊ぶ事ができる」様にも調整されている。
運営側にとっては無課金ユーザも計算の内なんですから、「俺が課金してモゲマスを存続させなきゃ」等と言う忠誠心(ユーザロイヤリティ)は要らないと思います。
私がここで主張したいのは、もし課金をするのであれば、その判断と行為は自己の意思において完全にコントロールされているべきである、と言う事です。
で、話は上にも挙げた「コンプガチャ」の問題に行き着きます。
リンク先のTogetterで纏められている中でも指摘されている通りのお話です。
まぁ、何と言うか、どう見てもセルフコントロールを喪失し、課金ガチャを回す事を「強いられて」ますよね。
個人的な体験を申しますと、私は小学生の頃にゲームセンター・遊技場の類でなけなしの御小遣いを盛大に磨って「すっからかん」になって以来、『己は賭博的な物事には徹頭徹尾向かぬ性格なのである』と自覚し、金のかかるゲームにおいては常に「これは賭博的か、そうでないか」と言う視点で判断する様に心掛けています。
ここで言う「賭博的」とは法律的な定義ではなく、個人的な判断ルールです。
(1)参加の度に金銭の支払いが必要で、(2)参加者個々人の技能によらずに確率で勝敗が決定され、(3)ただ一度きりの参加に留める事を阻害する(中毒化させる)心理的な要因がある、と言う三条件を満たすものを、自分ルールにおいて「賭博的」として、自分の中で『試しに一回やってみる』以上の関与を禁止しています。
『試しに一回やってみる』をセフセフの扱いにしているのは、「中毒化させる心理的要因」については「やってみるまで気付けない」可能性がある事と、サンクコスト効果を防ぐためです。
「既にお金を突っ込んでしまったので、最後までやり遂げて賞品を獲得しないと勿体無い」と言う心理状態に陥るのがいわゆる「サンクコスト」と言うヤツですが、これは「既に支払ってしまった取り返しのつかない金」と「これから支払うまだ引き返せる金」を同一視してしまって「払わないと損する・払わなきゃいけない」と自分自身に対して強いてしまっているのです。(最近は「コンコルド錯誤」と言う表現も使われます。)
自分の中で「最初の一回は自分ルールでも許された経費」「二回目以降は自分ルールで禁じている」と言う様に明確に区別し、一回分の損失の計上を『許す』事で、それ以降の支払いを強いられないようにセルフコントロール出来るのではないか、と。
三番目の「中毒化させる心理的要因」の有無なんて分かんねーよ(分かったら最初から手を出さねーよ)と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、何度か痛い目に遭えば経験的に分かる様になりますよ。
頭に血が上ったらアウトです。
思わずカッとなったら、その後冷静に戻れようが戻れまいが関係無く、それには「中毒化させる心理的要因」が含まれてると言う事です。
慣れれば「それをプレイしている自分」を想像しただけで血が滾って熱を感じるので、あぁ、こりゃあかんわ、と気付けます。
だから、私は(課金ガチャは回しましたが)コンプガチャには一度も手を出していません。
賭博的なゲームと上手く付き合えるかどうかには個人差があります。
世の中には競馬やパチンコを嗜みつつ自身の経済観念をコントロール出来ている人がたくさん居る。
皆が賭博的なゲームで身を持ち崩すようであれば、とっくに法律で禁止されていたでしょう。
中毒に陥らず、セルフコントロールを失わずに楽しめる人もいる。
そうでない、性格的に嵌って自分を失い易い人も居る。(←私はこちらになります)
己をよく知り、自分自身でその付き合い方を考えて決める必要があると思うのです。
余談
それ故に「判断力の無い子供に対しては一律禁止すべき」と言うご意見もありますが、個人的には半分賛成・半分反対です。
成人する前に痛い目に遭って懲りておいた方が、成人以降に失敗した場合よりダメージが小さい。
むしろ、小さい内に(親のフォローが効く範囲で)失敗しておくべきだと思います。