劇場版アイカツ!

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この日(2014年12月23日)は、「Zepp DiverCity Tokyo」では「如月千早」役でお馴染みの今井麻美さんの「今井麻美 9thライブツアー “little legacy”」東京公演が行われ、「品川ステラボール」では「最上静香」役でお馴染みの田所あずささんの「田所あずさワンマンライブ2014 “Beyond Myself!”」が行われていたわけですが、私は連れと新宿バルト9にて「劇場版アイカツ!」を見ておりました。

と言うわけで非アイマスな話題ですが、恐らくこれが自分にとって、この2014年に劇場で鑑賞する最後の映画になるであろうと言う事、そして、2014年を締め括るに相応しい映画だったと感じた事、更に言えば、思い返せば「劇場版アイマスに始まり劇場版アイカツに終わる」一年だったなぁと言う感慨を込めて、記念の感想エントリ。

個人的にはこのアイカツ!と言う作品は「毎週テレビアニメを録画して、たまにCDを買う」程度にしか嗜んでいないので、私はアイカツおじさんではないです。
カードも集めてないし、映画の前売券も買わなかったし(前売券は映画館の席のネット予約には使えないので)、映画自体、平日の仕事帰りに席が空いていれば寄ろうかな…程度に考えていたのですが、連れに「自分も見たかったのに何故黙って一人で行ったのか」と後になって叱られても嫌なので、念のため先に一声掛けたところ、予想外にもとても乗り気で、時間を合わせて休日の真昼間に行く事になりました。

で、映画館に入ってみれば、右隣に連れ、左隣に幼女先輩、その更に左に保護者の方、前の席も幼女先輩と言う状況。だから昼間はダメなんだって! 大きなお友達としては昼間は譲って、夜に行くべきなんだよ!orz
まぁ、それはそれとして、流石にこの状況では泣けんな、と。うん、泣くまいぞ。泣いてなるものか、等と思っていたのですが……。
…お察しください。

いやはや、いい映画でした。
実時間では僅か100分ほどの然程長くも無い作品ですが、感覚的にはかなりボリュームがありました。
曲数的にも時間的にも楽曲にたっぷり割り振っていながら、ドラマも全く疎かにしていない。
ドラマはドラマで要素がぎっしり詰め込まれていて、大変に見応えがありました。

以下、若干ネタバレを含むかもしれないので、以降はread more記述とさせていただきます。
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FYI: 折り畳み式Pヘッドの課題と当方現行型(version 4h.2)の御紹介

そろそろ「作り方」エントリを書き直さなきゃと思うのですが、過去にご紹介したもの(ver.2)と現行型(ver.4h.2)とを比べると、制作の上での手軽さと言う点では過去のモノの方が優れていたりして、リライトの機会を逃している昨今です。

と言うわけで、ご参考までに「折り畳み式Pヘッドにありがちな問題」の話なんかを共有できれば、と。
皆さんのノウハウや、失敗事例なんかも伺ってみたいのだぜ。

最初に、なぜ「折り畳み式」なのか

そもそもの話として、「折り畳み式」は最適解ではありません。
見栄えの良さを追求するにしても、軽量性や快適性を追求するにしても、折り畳まない(変形・着脱部の無い)固定された形で作った方が、単純であり、簡単であり、容易であり、合理的です。
もしも貴方が「折り畳む必要性」に迫られていないのであれば、「折り畳み式」にするべきではありません。

ですが、実際には、固定式を運用する事が困難な、「折り畳む必要性」に迫られているPヘッダーは少なくないのではないでしょうか。
「折り畳む必要性」とは、主に以下の2点が考えられます。

  • 公共交通機関等を利用して移動する際、荷物として嵩張らない事
  • 使用時以外に、コインロッカーやライブ会場の椅子の下に収まる事

例えば、車で来場して会場近辺に駐車場を確保したPヘッダーであれば、この様な事は考える必要はありません。
実際その様な方もおられますが、大多数のPヘッダーは電車等を利用して来場されるのでは無いかと思います。

「折り畳み式」の欠点・課題

前述の繰り返しになりますが、一般的に「折り畳み式」よりも固定式の方が優れている部分・有利な部分があり、それは裏を返せば「折り畳み式」の欠点と言う事になります。
即ち、

  • (固定式と較べて)強度が落ちる
  • (固定式と較べて)見栄えが悪くなる

主にこの二点の克服が、「折り畳み式」において取り組むべき課題となります。

どうやって「折り畳む」か

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例として、折り畳み構造の模式図を右に挙げます。
Pヘッドは大まかに言えば「開口部を下に向けて伏せた箱」として表現できます。
前後左右上下の6面のパネルが接続された「蓋の閉じた箱」においては、パネルは相互に固定されており、畳む事はできません。
しかし、上下の2面を外せば、前後左右の4面は繋がったままで畳む事が出来ます。
右の図は、畳む事を阻害する上下のパネルを排除した状態を、上から覗き込んでいると考えてください。

パターン 1

先程の図の一番上に示したのが、私が作った中では最初のPヘッドの構造です。(第一世代)
構成素材はプラダン(ダンプラ、プラベニ)、ポリプロピレン(PP)製の2層中空4mm厚のパネルで、赤色で示した角、隣り合うパネルを繋ぐ部分は、2層の片方のみ(折り曲げる山折りの側)を切る事で折り曲げられるようにしています。

分かり易い欠点としては、折り畳んだ状態での長さが「折り畳む前の長辺+短辺」の長さになってしまうと言う事と、折り曲げ部分に「折り癖」が付いてしまい、組み立て状態に戻しても直方体にならない(上から見た時に若干「菱形」に崩れがちになる)と言う事でしょうか。
この時は、その大きさ故に「キャンバスバッグ」にて持ち運んでいました。

パターン 2

第一世代は通常サイズのコインロッカーに入れるのもギリギリだったため、もう少しコンパクトに畳んで余裕を持った取り回しをしたい、と作成したのが第二世代。図の二番目の構造です。
フロントパネル、バックパネルを折り曲げる事で、折り畳み時の大きさを抑えました。

どのパネルをどのように折り曲げるか、と言うのは見栄えと相談するところで、Pヘッドにおいて一番面積の大きい(即ち、収納時に邪魔になる)パネルは他ならぬサイドパネルなわけですが、ここに「折り跡」「折り癖」が付いてしまう事はどうしても避けたかったため、比較的「見栄えの重要度」が低いフロントパネルとバックパネルを折り曲げる形にしました。

折り畳んだ状態での長さを抑えた代わりに、厚みが増しています。
また、「折り癖」自体は解決していませんので、組み立て状態において「折り癖」に沿って内側へ潰れようとするパネルを固定する仕組みが必要になりました。

尚、この時は「バックパネルのみ分解」「フロントパネルとバックパネルを分解(=完全分解式)」等も並行して試していましたが、強度面などの事情でそれぞれ一度しか使用していません。

パターン 3

現行型でもある第四世代が、図の下の構造となります。
(尚、第三世代は前述の「分解式」として、強度不足により実戦投入→即退役となってしまいました。)

「パターン 2」との違いは、フロントパネル、バックパネルを軟質素材(シート:右図の青色の部分)と硬質素材(ボード)の二層構造にした事。
折り畳み時は内側のボードを抜き取る事により、柔軟なシートで繋がった2枚のサイドパネルを重ねて収納する事が出来ます。

この構造は「折り癖」に起因する「組み立て状態での望ましくない変形」の問題を解決しています。
両サイドパネルは「柔軟だが延び縮みはしないシート」で繋がっているため、外側へ膨らむ事は無く、また、
硬質のボードが骨組みとなって支えているため、内側へと潰れる事もありません。

尚、このままの状態ではフロントパネル、バックパネルの表面素材(右図にて青色で示したシート)とサイドパネルの素材が異なる事により、見栄えにおいて素材感が統一されないと言う問題がありますが、これはサイドパネル表面にも同じシートを張り付ける事により解決しました。

現行型(version 4h.2)のご紹介


と言うわけで、当方が2014年12月現在使用しているPヘッドはこんな感じです。
折り畳みの形式は前述の「パターン 3」にあたり、当方制作の中では第四世代、累計7つめのPヘッドとなりますか。

頭頂部からアール部分を構成するトップパネルを引き剥がして、フロントパネルとバックパネルの内側のボードを引き抜いて、サイドパネルを重ねると、シンデレラガールズ1stライブ物販のトートバッグに収まります。
なかなかコンパクトでしょう?


構造が分かり易いよう、普段は外していないフロントパネルの外側のシートを剥がしてみました。

このフロントのシートやトップパネルはシリコンゴムの粘着テープによって貼り付けています。
シリコンゴムの粘着テープは「表面が汚れると粘着力が失われるが、水で洗い流すと何度でも粘着力が回復する」…と言う事になっているのですが、最近、洗っても粘着力が以前ほどは得られない状況になっており、対応策を検討中。貼り換えられるかな?


更に、ボードも引っこ抜いてみます。
ここで手前に立てているのが、組み立て時にはフロントパネルとバックパネルの内側に挿しこまれるボード。
フロントパネルのボードは上下二枚に分割されており、それぞれ上と下から挿入します。
バックパネルのボードは1枚で、上から挿入します。

フロントパネルのボードを分割したのは理由があって、ヘッドを被った状態で下のボードを抜き取って、シートを下から巻き上げる事により、被ったまま飲食ができるようになっています。便利!(?)
この仕様は第二世代から続く「こだわり」だったりします。くっだらないけど、

素材は色々と試行錯誤しましたが、現行型は、5mm厚のスチレンボード(発泡スチロールボード)と0.2mm厚の塩化ビニールシートの組み合わせです。
水洗い前提なので、スチレンボードは両面とも紙貼りではありません。
塩化ビニールシートは思ったよりも透過性があったため、黒ないし白のシートを内側に重ねています。

もうちょっと「プラスチックっぽい質感」のシートがあるといいんだけどなぁ。
屋外で使うモノなので、耐久性、非汚染性なども求められますが、塗装の手間を省く都合、売り場にある物の中からまず色で絞り込んでいるので、選択肢はあまり多くないです。

トップパネル固定用のタブや、ボードの柔軟性を持たせたい箇所にポリエチレンフォーム(発泡ポリエチレンボード)を使用しています。
製品名としては、コーヨーソフトボード(光洋産業株式会社)とサンペルカ(三和化工株式会社)です。

その他の可能性について

先程からちょこちょこ言及していますが、「折り畳み式」の他に、「完全分解式」もまた一つの答えです。
実際にその様なPヘッドを運用されている方は複数おられますし、私も何度か試しています。

分解式のメリットとしては、収納時に(折り畳み式以上に)コンパクトになる事や、破損時もダメになったパーツのみ作り直せば済むので長期運用の上で手間と材料コストを省ける事、パーツ単位での改良・交換が行える事などがありますが、一方でデメリットとして、パーツ接続部分の強度や精度の問題、そして、組み立てに手間と時間がかかる事などが挙がります。

特に、組み立ての手間と接続強度はトレードオフの関係になる場合が多いのではないでしょうか。
組み立てを簡略化すると、接続強度が下がり分解し易くなる。接続強度を上げれば上げるほど、組み立てが煩雑になりセットアップに時間がかかる。
組み立てに要する時間は可能な限り短縮したいところですが、幕張メッセやパシフィコ横浜などの海沿いの現場は風も強く、接続強度を軽んじる事もできません。
パーツ自体の自重も接続強度を左右しますし、実際に作って運用してみると、事前の考えよりも難しいバランスで成立している事を思い知らされます。

Pヘッドはどんな自由な発想で作ってもいいんだ

(と言っても、「自分の作りたいイメージ」を飛び越える事は無いので、私なんかの場合は、結果としてどれもこれも似たようなものになるんですががが。)

近年「大学の新勧でPヘッドやった」等のTweetを見かける事も増え、「日本橋ストリートフェスタ」の様な屋外イベントでPヘッド集団が目撃されたり、アイマスとの紐付けが強くない場でも見かける程度にポピュラーになった事が、何だか不思議に感じています。
SSA二日目の前説アニメにおいて「Pヘッド+映画泥棒(カメラヘッド)」の融合形態が公式から登場した時には、勢い勇んで「これ作るぞ」と宣言しておられた御仁をTwitter上で多数見かけましたし(同じ方かは存じませんが、実際に作られた事例もあるようです)、Pヘッドも遂にキャズムを超えたかな、と。(←言い過ぎ、大袈裟)

Pヘッドはもともとは同人界隈やニコマス界隈で用いられた「記号化」でしたが、「ぷちます!」によって公式にも採用された経緯*a1もあり、アイマスP層の広がりと共に、公式採用以前の文脈を知らなかったり*a2、忘れてしまっている*a3人達も増えてきたようです。
なので、ここで一度「おさらい」と言うか、再確認しておきたいな、と。

  • *a1 : 「ぷちます!」は明音氏が個人サイトに掲載していた二次創作の4コマ漫画が、(作者の許可を得た形で)ニコニコ動画に転載されて人気を博し、「バンダイナムコゲームス公認のスピンアウト作品」としてアスキー・メディアワークスのコミック誌にて連載が始まったものです。
  • *a2 : 後述しますが、アニマスの影響力が非常に大きかった事から、アニマス以降に入ったPの中には、赤羽根Pの以外のP像に違和感があると言う方が結構おられるようです。
  • *a3 : 2014年に、とあるオーソリティーが「ぷちます!」Pとは前後が逆になったPヘッダーの画像を見かけて、「逆ではないか?」と言う意味合いのTweetをしていました。古参の方でも「ぷちます!」P像によって認識を上書きされてしまい、それが「様々なP像のバリエーションの中の一つ」であった事を忘れてしまっているのだな、と驚きました。

そもそも、P像自体が一切の制約を受けないと言うお話

要約:Pヘッド以前に、P像(Pのイメージ)自体が自由なものです。

アケマス等、初期のアイマスが「アイドル以外の全ての人間」を単なるシルエットで表現していた*b1事から、初期のアイマスにおいてP像は「非定義」、定義されていないものでありました。
そのため、同人界隈ではそれぞれの作者の自由なイメージでP像が構築されました。*b2

  • *b1 : 後に、この「シルエットで表現」の最初の例外として音無小鳥が設定されます。
  • *b2 : 同人を含め、User Generated Content(あるいは、User Created Content)の界隈においては、定義を詰め過ぎずにユーザひとりひとりが自由に想像・設定する余地が残っている事が「盛り上がり」に必要不可欠だと考えられています。

その多くは、(a.)アドベンチャーゲームの主人公の様に*c1「比較的多くの読者が自己投影し易い、特徴の薄い曖昧な人物」でした。中肉中背、背は高くも低くもなく、太っても痩せてもおらず、前髪が少し長くて顔が隠れているようなイメージ、とでも言いましょうか。*c2
もっと踏み込んで(b.)「自分のイメージするP像」のディテールを詰めていった作家さんもいますし、(c.)担当アイドルとの対比の印象等を意識して、「この子とこんなPの組み合わせならどんな人間関係になるだろうか」と言う視点でP像を構築し、Pと担当アイドルの関係性を軸に物語世界を構築する作家さんもいます。

Pを「アイドルの観測者」とした場合や、アイドルを描くための相手役、助演俳優的な位置付けで考えた場合は (a) のパターンに、作者自身のプロデュース方針や、作者の担当アイドルの関係性が作品の前面に出てくる場合は (b) のパターンに、自分自身とは同一視しない架空のP像が担当アイドルに寄り添う物語を思い描いている場合には (c) のパターンになる場合が多いように感じます。
いずれにしろ、この時点で「アニマスにおける赤羽根Pのような」具体的なP像を公式が示していなかったからこそ、P像に様々なアプローチが生じたのだと思います。

  • *c1 : 「昔のエロゲの主人公の様に」でもいいかな。
  • *c2 : 自分がイメージしたのは日本ファルコム「ブランディッシュ」主人公の顔グラフィックとか、

アニマス以前にアイマスに触れた人の多くは、ゲームをプレイしたか否かに関わらず、当時はこの様に「P像とは十人十色のものである」と理解していたように思います。

同人よりも後のタイミングで発生したニコマス*d1も同様で、小心なP、愚かなP、変態なP、女性恐怖症なP、セクハラ三昧の屑人間なPなど、(b) や (c) の観点で様々なP像が描写されました。
そもそも、ゲーム内のPの言動自体が支離滅裂で一貫性がなく、キチガイじみた側面を持つため、その一部分を抜き出して膨らませただけで、幾つもの全く異なる人物像が生まれます。
やがてニコマスにおいては、既存の映像・音声素材を組み合わせる「MAD動画」の作法の延長線上で、最強のサイヤ人やティーズファクトリー代表取締役、仮面ライダー、左腕にサイコガンを持つ不死身の男など、様々なキャラクターがP職を務める事になります。

  • *d1 : アケマス初期にはニコニコ動画はまだ存在していません。「ニコマス」と呼ばれる二次創作ジャンルに火が付いたのはXbox360版のリリース後でした。(ただし、ニコニコ動画のサービス開始から「ニコマス」ブームの間にも、僅かながら「アーケード版のプレイ動画」は存在していました。)

実は、この時点で既に「所属文化によるギャップ」が存在し、アケマス世代であっても、同人文化やニコマス文化との接点が少なかった人の場合、自分の中のP像を絶対視するあまり、「多数のPの間で多様なP像が共有されている」事を受け入れられない場合があります。
ただ、公式の手によりゲーム内で描かれているPの断片的な描写が、P像としてあまり肯定的に語られない事だけは、当時のPの間で共通しているのではないかと思います。

「Anno アニマス」あるいは「After アニマス」

西欧の歴史がキリスト紀元前(BC, Before Christ)とキリスト紀元(AD, Anno Domini)で記述されるように、アイマスの歴史はアニマス紀元前(Before アニマス)とアニマス紀元(Anno アニマス)で記述する必要がある…かも知れません。
アニマスの降誕は、アイマスを取り巻く環境をドラスティックに変容させました。

アニマス紀元前のP(以降「BA世代」と表記)にとって、赤羽根Pは「この世に数多いるP達の中で、特に『公式によって描かれた数人のP』の中の一人」に過ぎませんが、アニマス紀元後にこの世界に降り立った人(以降「AA世代」と表記)の中には、自覚の有無に関わらず、赤羽根Pが「唯一のP」*e1となっている場合があります。

  • *e1 : この様に書くと、アニマスおよび「2」内の律ちゃんPのポジションが微妙な件

こうして、第二の大きなギャップが我々の前に立ち塞がります。
ちょっと探せば、ニコマスのストーリー物や同人誌に対する反応で、極自然に「赤羽根P以外のPは受け入れられない」と言う感想を呟いている人を見つける事ができます。
アニマスは強い影響力を持って具体的なPを描いた事によって、数多の個性を持つ群体であったP像を、ひとりのキャラクターに集約してしまったわけです。*f1
BA世代に属していても、ゲームや同人、ニコマスから離れて久しいPにおいては、ほとんど無自覚に「赤羽根Pを標準的P像として想定してしまう」傾向が見られています。

  • *f1 : アニマス以前に存在した「公式の手による作品」の描くP像との決定的な違いは、テレビアニメと言う媒体の影響力の大きさでしょう。

後に「ぷちます!」Webアニメ化によって、「ギャグものに限ればPヘッドでも良い」と態度を軟化させる人々も現われましたが、どちらにしろ、公式がアニメーションとして提示したP以外は受け付けないと言う姿勢の人達が大量に生まれてしまった事には変わりありません。
これはもう世代ギャップとしか言いようがない。

また、この頃から、かなりハッキリと「Pヘッドは嫌い」と表明する人も現れました。
このように表明する人達は必ずしもAA世代に限らないのですが、BAの頃には全てのP像が並び立っていた故に気に入らないP像を苦も無くスルー(見ない振り)できていたのが、AA以降、「広く認知されている世のP像」が「赤羽根P」か「間島P(「ぷちます!」Pヘッド)」かの2極に偏ってしまったために、スルーし難くなってしまったのではないか、と推測します。

そんなこんなで…

現状、Pヘッドを取り巻く環境は、なかなか複雑なものがあります。
目立つご意見だけ拾い上げても、

  • 非公式の存在なので望ましくない
  • 公式の存在なので問題ない
  • 公式の存在だが「ぷちます!」以外の場では望ましくない
  • モゲマスPはPヘッドな気がする
  • 公式とか非公式とかどうでもいいし、問題ない
  • 公式とか非公式とか関係なく、嫌いなものは嫌い
  • 皆がスーツ姿では芸がない。もっと色々なバリエーションでアピールすべき
  • スーツじゃないやつって何なの? 意味が分からない。スーツ以外認めない
  • 野良コスやめてほしい*g1

etc,etc,etc…

まぁ、ぶっちゃけた話、真逆の御意見が存在しているので、皆の意見を汲んで皆を満足させる結論に着地するのは無理って事です。

なので、自分にとって都合の良い御意見を採用する事になります。
私は「User Generated Content」としてのアイマス界隈を敬愛しているので、同人やニコマスで育まれた『雑多でカオス極まる様々なP像』を支持していますが、雑多でカオスなP像も、スタンダードで凡庸で特徴の乏しい「単なるスーツのPヘッド」が居ればこそ際立つと思うので、自分自身は多くの場合に「単なるスーツのPヘッド」を選択し続ける*g2と思います。

  • *g1 : 公の場での仮装は「表現の自由」の範疇であり、公序良俗に反しない限り制限できる根拠はないです。コスプレイベントのローカルルールを、イベント外で社会規範や法律よりも優先してよい道理はありません。
  • *g2 : 例外アリ(「P字の穴がスピーカーになっていてアイマス曲が流れるPヘッド」「注連縄飾りを装ったPヘッド」「開店祝いのミニ花輪を装ったPヘッド」等々)

Pヘッド自体は極めてハードルが低いと言う話

要約:だから、軽い気持ちで始めればいいのよ。だけど、嵌ると案外深いのよ。

実のところ、Pヘッド自体は、それをコスプレと呼ぶ事も憚られるぐらい容易なものです。
(それ故に「コスプレは高いハードルを越えて辿り着くべき崇高な物なのに、お手軽にコスプレもどきをしやがって、コスプレに対する冒涜だ」とヘイトを募らせる人も居るぐらいです。)

例えば、これは実際にTwitter等でちょっと検索をかければ見つかると思いますが、「大学のサークル室などで作成し、そのまま大学構内で新入生勧誘などに利用する」と言うシチュエーションであれば、「屋外で塗装が可能」、「大きさや可搬性を気にしなくてよい(折り畳み式・分解式にしなくてよい)」、「耐水性・耐久性も意識しなくてよい」等々、仕様面での条件が緩和されて、難易度は極めて低くなります。

でも、そこはそれ、Pヘッダーがそれぞれに自分だけの「こだわり」を持つ事で、あんなに簡単だったPヘッドが見る見る内にちょっとした苦行に!

  • 例えば、ブラックホールPの様に「仮面ライダー鎧武」の駆紋戒斗なPヘッドを演ろうとすれば、普通にコスプレをするのと同様に衣装を用意する必要があり、ハードルが上がります。
  • 例えば、北海道在住の紫もやしPは、幕張でのライブに空路で向かうにあたり、飛行機の預入荷物(受託手荷物)とするために完全分解式のPヘッドを作成しました。全てのパネルを面ファスナーで固定する事は、パネル自体の自重を考えるとなかなか難しい事だったりします。

私のPヘッドは初期の頃はかなり大きかったため、入場前のコインロッカー確保に苦労しましたが、現在ではアリーナ席の椅子の下に収まるヘッド、分解して手荷物に収まるヘッドも珍しくありません。
夏の猛暑の最中でのPヘッドは体力を奪いますし、海風吹き荒ぶ幕張や横浜では強度や固定方法が問題になります。
今なお様々な課題があり、また、人によって異なるテーマと拘りがあるのがPヘッドです。

フォルムに拘るPヘッダーがいます。
表面の質感や繋ぎの目の処理に拘るPヘッダーがいます。
アイスリットを目立たなくする事に拘るPヘッダーがいます。
ポーズや小道具に拘るPヘッダーがいます。

そんな細かなところにどれだけ拘っても、Pヘッダーをいちいち見分けてくれる人は決して多くはありません。
しかし、稀に、極稀に、凄く細かなところまで見て、批評してくれる人も居たりして、なんだかんだでそーゆーのが嬉しかったりするのです。

Pヘッドの雨天対応に関する課題メモ

先に結論を書いておきますが、雨天対応を考えて色々と工作する事はお勧めしません。
「考える事・試す事が楽しい」と言う側面もあるので、考える事を無駄だとまでは言いませんが、
それを試す事により「費やす労力」が「得られる成果」に見合わないだろう、と言うのが私の考えです。

その上で、それでも試される方への一助となればと思い、私の経験に基く課題点を記録しておきます。
9th東京2日目、ひどい雨だったね…

基本素材

まずは、パネル基本素材のお話。

プラダンやコーヨーソフトボード(旧称:ライオンボード)やサンペルカ、EVAシート等々のPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)系素材で作られている場合、素材自体の耐水性が高いため、小雨程度であれば特に何の工夫も無くしのげると思います。

PS(ポリスチレン)系の素材もそれ自体は高い耐水性を持ちますが、表面に紙を貼ってあるスチレンボードの場合は表面の耐水性はあまり期待できません。
色付きのスチレンボードは基本的に「色の付いた紙を発泡スチロールの板に貼ったもの」ですから、その上に耐水のためのコーティングが必要となります。
そもそも、スチレンボード自体、商品としては「屋内用」とされている事が多いと思います。

ダンボールなどの紙系の素材で耐水性云々を考えるのは不毛です。
無論、探せば耐水性の高い紙もありますが、恐らく多くの方は、単純に「入手し易さ」から紙系の素材を選んだと思います。
耐水性能など、紙系素材の縛りの下で「機能性重視」で素材を選ぶとなると、PP/PE系素材と大差無いぐらい入手コスト(金額と手間)が掛かるのではないでしょうか。
ヘッドごとまるっとビニール袋で覆う、なんて発想もあるでしょうけど、それ、窒息しても知らんで。

さて、先程、PE/PP系素材について「小雨程度であれば特に何の工夫も無くしのげる」と書きました。
この「小雨程度」と言うのは、例えるなら、6th東京公演開演前程度の雨、大きなタオルを被っていれば平気な程度の雨です。
ですから、9th東京公演2日目の雨は当て嵌まりません。
この先は、「どうすれば9th東京公演2日目程度の雨をしのげるのか?」と言う観点でのお話になります。

接合部

パネルの素材自体は問題無いとして、続いてパネル同士の接合のお話をします。

PE/PP/PS同士を接着する接着剤の多くは、水で溶けると言う事はありません。
問題は接合したパネルとパネルの隙間でしょう。この辺りは「組立式」の弱みです。

例えば、千板Pの非組立型Pヘッドの場合、パネル同士の合わせ目が完全に処理されているので、恐らくJIS防水保護等級で言うところの保護等級5(防噴流形)~6(耐水形)の水準を満たしているのではないかと思います。*
しかし、組立式でパネル間の隙間を完全に埋めるとなると、組立・分解の手間(所要時間)が爆発的に増えてしまい、現実的ではありません。
設計を工夫し、工作精度を上げる事により、少しでも隙間を減らし、保護等級2(防滴II形)~3(防雨形)を目指す事になるでしょうか。

  • 本人に聴いたわけでは無く、当方の推測です。また、千板Pは防雨防水を意図してではなく、見栄えを美しく仕上げるために合わせ目の処理をしています。

同じ組立式の中でも、各パネルが完全分離するタイプは特に「隙間を減らす」事の難度が高いです。
私の経験上でも、過去に「PE素材の完全分離パネル+面ファスナー(マジックテープ)接合式 / ネジ止め式」等を試作しましたが、パネル同士の隙間を十分に減らす事が出来ず、断念しています。

  • 余談:
    「パネル完全分離式」は2012年後半から2013年前半に入れ込んでいましたが、接合部の構造が全体の重量増を避けられないと言う結論に至り、現在は試作していません。

側面パネルは全て接着して「分離」しない「折り畳み」式とし、(畳む都合により接着できない)上方・後方曲面パネルのみを対象に、精度を上げて隙間を減らす、あるいは、部分的にマスキングテープなどで塞ぐ、等の方法が考えられます。

…って、そんな簡単な話じゃ無いんじゃー!

ここまでの説明で、既にPE/PP系素材でPヘッドを作り慣れた方ならば、「え? それだけ? 読むまでも無かったな」と思われた事でしょう。

ですが、実は真の問題はその先にあります。ここからが本題であり、ここまでは単なる前置きです。
この先は、「雨天対応Pヘッドを作りたい」等と言う愚か極まりないお前らが、ベストプラクティス(最良の方法)を一緒に考えてくれ、と言うお話。

さて、Pヘッド本体の「防雨」化はあっさり成立しました。
では、このヘッドで雨の下に立つとどうなるか。
肩が濡れます。
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まず、ヘッドだけ「防雨」化してもダメなのは分かりますよね。
ヘッドが完全な雨具として機能しても、ヘッドで覆われていない部分は雨に晒されますから。
なので、当然ながら雨具と併用する事になります。

ではまず、傘を差しましょう。
ブラックホールPの軟質素材Pヘッドぐらい小型であればいいかも知れませんが、我々のような硬質素材系Pヘッドは、体が濡れないように傘をさすと、頭の一部が傘からはみ出る事が多いと思います。*
すると、Pヘッドのパネルを伝って水滴が首のところまで落ちてきます。で、その水滴は結局は傘の下にあるはずの体を濡らす事になる。

  • そもそもの話として、ヘッドが大き過ぎると傘が指せない事態も有り得ます。

こんな事もあろうかと!
と言うか、雨の中での列形成は「傘禁止 / 雨合羽推奨」となる事も珍しく無いので、当然ながらレインコートを持って来ています。(中野ミリオン1stの前夜にコンビニで買った、一番安いやつ)

と言うわけで、レインコートを着ました。レインコートのフードは、ヘッドが収まらないので被れません。
レインコートの襟元をなるべく上げて寄せて、首回りまでぴっちり覆えば、肩が濡れるのは防げます。
その代り、被れずに背中に垂らしていたフードに雨水がたっぷり溜っていました。
レインコートを脱ぐ時に、ザバー!って、雨水がザバー!ってww*

  • この時の筆者の気持ちを4文字以上で記せ。(配点:15)

あるべき雨天対応について考える

以上の経験を踏まえまして、まず第一に、まともに雨を防げて、フードの外せるレインコートを用意する事。
第二に、Pヘッドとレインコートの「間」に水が落ちないようにする事。

これをスタートラインとします。
我々は、ここから先の事を考えなければならない。
と言うのは、まともにレインコートを着込むと、スーツを着てきた意味が無くなるんですね。
スーツを隠さない、半透明ではなく完全に透明な素材のレインコートって、作りの悪い、安っぽい(=防雨防湿性能が低い)ものばかり。

単に雨を防げればいいって話では無いので、これは解決すべき課題です。

雨空の向こう側へ!

そこまで頑張って雨天対応を成し遂げても、他の人達はみんな傘をさして歩いているわけですから、名刺交換が面倒な事にはあまり変わりはありません。
屋根があり、施設管理者やライブ主催側スタッフに「そこにたむろすんな、散れ」と言われず、また、他人に迷惑を掛けずに滞在できる場所*が確保できるのであれば、無理をせずに屋根の下に留まるのが一番楽です。

  • 念のため釘を刺しておくが、千駄ヶ谷駅の改札前のスペースは「迷惑を掛けずに滞在できる場所」ではなかったぞ。

本音を申し上げますと、他の人が理想の雨天対応を成し遂げて雨の下に立つのであれば、俺はそんなしんどい思いはせずに屋根の下で大人しくしててもいいかなー (^-^; 、と言う思いもあります。
端的に言えば「差別化」ってやつです。
皆が雨天対応を頑張るなら俺は頑張らない、皆が雨天対応を頑張らないなら俺が頑張る、って話。

…と言った事も踏まえまして、Let’s Enjoy!!

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