アニメ「THE IDOLM@STER」 第24話

春香さんがすごかった。鳥肌が立った。(←小学生並みの感想)

あっけなかったし、分かり易い答えを与えられたわけでもない。
でも、彼女達はまた前へと進むのだ。

綺麗な着地でした。ええ、感想は追々。
(全話放送終了に伴い「Read more」記述を解除しています。)

二十四話「

板張りの舞台の上に、幼少期の春香さんの姿が、

春香「あのね、春香ね。大きくなったら、アイドルになりたい! アイドルになって、それで…」

そして、今現在の春香さん。

春香「私の…私の夢はどこ? 掴み掛けた夢が、零れ落ちてゆく。さらさらと…音を立てて…」

舞台「春の嵐」の台詞と重なっているのだろう。
アニメと同時期にここを読んで下さっている方は御存知と思いますが、この24話と最後の25話、私はなかなか感想エントリを挙げられませんでした。
それは、年末年始で何かと忙しくしていたと言うのもありますが、何より、春香さんの「舞台の演技」とも独白ともつかない台詞が重過ぎたから。
今まで何処でも聴いた事の無い、重い、胸の中の悲痛な叫びを押し隠しているかのような声。
これを、この雰囲気を、単に台詞を書き出しただけで片鱗でも伝えられるのだろうか?
と言うか、これを伝える言葉も持たないのに感想エントリなんぞ挙げて、何の意味があるだろうか?と、

結局「言葉で伝える事」は諦めて、こうして性懲りも無く台詞書き出してるんですけどね。
ここは是非とも実際に聴いてほしいです。私がそうしたように、24話は何度でも見返して欲しい。
他の人の感想を読んでも、「春香さんには聞こえない」とか、「最初は中村さんそのものに聞こえたけど、見返したら春香さんに聞こえてきた」とか、色々な感想があって面白いです。

Opening

おぅふ、本作三度目の、黒地に文字だけのオープニング。

Aパート

「手術中」のランプの消えた病院の廊下にて、社長から説明を聞く一同。

社長「手術はひとまず成功した。脳波にも異常は無く、今後は回復に向かうだろうとの事だ。ただ、当面は絶対安静、面会も控えるように、と。色々、心配だろうが、ファンのみんなのためにも、今は仕事を全うしてくれたまえ。恐らく、彼もそれを望んでいるだろうからね」
一同「はい…」

まだ暗い間にタクシーで帰される美希。
春香はまだ泣いている様だ。

律子「そうよ。だから、そんなに自分を責めないで、春香…」

そして、暫く日が経ったのだろう。

千早「春香…大丈夫?」
春香「…え?」

劇場の前からタクシーに乗る二人。
春香は心此処に在らずと言った様子…

春香「…大丈夫だよ」
千早「ミュージカル、主役、決まったのね。おめでとう」
春香「へへっ、夢みたいだね。まるで…」

再び春香の舞台の練習風景に、

春香「夢だったの? …あの楽しかった日々は、一体何処へ…。時は過ぎて行く。私一人を置き去りにして…どうすればいいの? 私は、一体どうすれば!? …分からない、私には分からない!」

楽しかった日々を想う春香。
その鬼気迫る台詞に、見ていた美希も息を呑む。

春香「頑張らなきゃ…頑張らなきゃだよね?」

春香が見つめるのは、自分の足元の板張りの床。

春香「どんなに醒めようと、私はまた、夢を見るだろう…そう、信じていたのに。時は過ぎて行く。私一人を置き去りにして…どうしたら、いいの? 私は、一体どうしたら…分からない。私には、分からない…」

舞台向けの発声から、素の発声へ、想いの吐露へと移り変わる瞬間に鳥肌が立ちました。
舞台の練習は続き、その合間には一人でニューイヤーライブのための自主練習。レッスンスタジオに一人座り、鏡の中の自分と向き合う春香…

そして、ある日の移動中。
ガラガラの地下鉄の中でスケジュール帳と携帯電話を開いて確認をしていた春香は、屈む様にして携帯電話の画面に見入って、メールの履歴を追い始める。
合同練習のスケジュールを合わせられない事を詫びた内容であろうメールタイトルが何件も続き…

春香「無理なのかな? もう…」

そうして遡っていく内に、クリスマスパーティーを企画した時のプロデューサーのメールに辿り着く。
それを読んだ春香は、ただ一言、すがる様な声で漏らすのだった。

春香「プロデューサーさん…」

恐らくは舞台の稽古の合間であろう、劇場のロビーの様なところで律子Pに談判中の春香。

律子「ミュージカルの稽古を休みたい?」
春香「ミュージカルだけじゃなくて、他の仕事も、できれば。私、ライブに集中したいんです」
律子「ちょ、ちょっと、どーゆー事? そんな事、できるわけ…」
春香「このままだと…私達のライブ、駄目になっちゃいます。全然、みんなで練習できて無いし」

表情に生気が無い春香。

律子「それは分ってるわ。だけど、みんな個人練習はしてるでしょ? 全体練習は足りて無いけど、ライブをやらないわけじゃ無いんだし…」
春香「でも! もしかしたら、このライブが全員でやる最後のライブかも知れない。だから、みんなで、一緒に練習を!」
美希「春香はワガママだよ!」
春香「…美希」
美希「春香、主役なんだよ?春香が居なかったら、他のみんなの稽古もストップしちゃうんだよ?」
春香「あ…」
美希「美希、絶対主役やろうって思った。本気だったよ。でも、春香の演技はもっとすごかった。だから諦めたのに、春香はそれを棄てちゃうの?!」
春香「わ、私…私だって、頑張りたいよ。私だって、主役嬉しかったもん。でも、このままじゃみんながバラバラに…お願い、ライブが終るまででいいから、私だけじゃなく、みんなも、みんなも一緒に練習しないと!」

この拘りは最早、病的にさえ見える。
少なくとも春香以外の皆にとって、全体練習はクオリティを高めるための「手段」でしかないはず。
「みんながいい」の度を越した「みんなでなければダメになってしまう」では、理解されないのではないか。

律子「春香、無理言わないで。急に休むなんて、そんな事…」
春香「スタッフさんには、私が頭を下げてお願いします。ライブが終ったら、今までの倍、いえ、三倍頑張ります! …だから、だから、私…」
美希「春香は、どうしたいの?」
春香「…え?」
美希「春香、なんか変だよ。春香は、アイドルになって嬉しくないの? テレビやラジオや、色んなとこでキラキラできるのは、楽しくないの?」
春香「そんな事、ない」
美希「ホントに? 春香、全然楽しそうじゃないよ。楽しかったら、そんな顔しないもん」
春香「はっ……あ…そんな、変な顔、してた? …へへ、やだ………変だね。楽しかったのに…楽しかったはず、なのに、いつからなんだろう…変だね。…でも…私…ただ…私…みんなと…」

春香の様子に、思わず表情が凍りつく律子と美希。
春香の目からは涙が溢れ出す。

春香「…あれ? …どうしたかったんだっけ? …どうしたかったのかな? …分かんない。もう、分かんないよ…」

そんな春香の様子に焦る律子と、呆然と立ち尽くす美希。

千早「春香が?」
律子「えぇ、ちょっと、混乱してるみたいで。暫く、仕事は休ませる事にしたわ。………どうすれば良かったのかしら」

りっちゃんの心痛は察するに余りあります。

場面は変わって、「Honey Heartbeat」が鳴り響くCM撮影。
衣装は「2」の代表的な衣装のひとつ「キャンディレディ」で、着メロ配信サービスの類のCMであろう。

真・雪歩・やよい「「ライブステージが、ケータイに降りてきた!」」

そして、撮影の合間。

真「春香、大丈夫かなぁ…」
雪歩「あたし、何度かメールしてみたんだけど、返って来なくて…」
CMディレクター「お疲れさま」
真・雪歩・やよい「「あ、お疲れ様です!」」
CMディレクター「いやー、いいCMになりそうだよ」
真・雪歩・やよい「「ありがとうございます!」」
CMディレクター「あっ、そうだ。天海クン、どんな様子なの?」
真「え?」
CMディレクター「いや、体調不良とは聞いてるんだけど、長引く病気なのかな?」
真「えーっと、僕達も、詳しくは…」
CMディレクター「そうかぁ…。でも、仕方ないよね。これだけ別々に仕事してたら、お互いの状況なんか分からないから」

貴様! 今、やよいの笑顔を曇らせたな!
また別の現場。竜宮小町のレコーディングだろうか?

音響監督「でも、大丈夫じゃない? 個人でちゃんと活動できてるんだし、765プロって事にこだわらなくても」
伊織「そっ、そんな事…」
あずさ「…そんな事は…でも…」

そしてまた別の現場、お台場で寒そうにしている亜美と真美。
動物番組のロケの合間に寂しそうに俯く姿を、心配そうに見守るオカマのディレクターさん(再登場!)。
貴音もまた別の音楽番組らしき現場で愁いの表情、美希も、そして、千早も。

律子「みんな、自分達の仕事を、一生懸命やっていますから、仕方、ないです…」

千早は携帯電話の電話帳で春香の項を開くが、そのまま電話はかけず、液晶の明かりが落ちる。

Bパート

かくして、休業となった春香さん。
自室にて、部屋着でベッドの上に転がって、気力無くぼんやりとしている。
部屋のカーテンは閉めたまま。机の上には舞台の台本が、

と、部屋の外で誰かが階段を上がる音が、

春香の母親「春香? 今日も出かけないの?」
春香「……。」
母親「家に居るんだったら、お使いに行って来てくれない?」
春香「……。」
母親「少し、外の空気でも吸って来たら?」
母親「…うん」

いつも通勤時に顔を隠すのに使っている大きめのキャスケットを被って外に出た春香。
「お使い」とは郵便を出してくる事だったのか、郵便ポストに何やら投函。

春香「私は、どうしたかったんだろう? どうして、アイドルになりたかったんだろう?」

地元の街を歩く春香、コンビニで雑誌を立ち読みしながら談笑する女子高生達、その手に開いたページには春香の写真入りインタヴューが掲載されている。
吐く息の白い季節、俯きがちに歩いていると、トラックが荷降ろしをしているところに通り掛かる。

運送スタッフ?「荷台、そっちにありますんで」
冬馬「おう」

よそ見をしながら歩道に出てきた男性、と言うか、天ヶ瀬冬馬とぶつかる春香。

冬馬「あっ、悪い!」
春香「こちらこそ」
冬馬「お前…」
春香「あっ」
冬馬「765プロが、こんなところ何やってるんだ?」
春香「あっ、あの…私の家、この近くで、えっと、今日は、仕事、お休みで…」
冬馬「休み? 売り出してる時に優雅に休みを取るなんて、余裕じゃねぇか」
春香「……。」

うっかりいつものように《負けん気》を発動させてしまったものの、肩透かし。

冬馬「なっ…ふ~ん、まぁ、いいや。休みってんなら、暇って事だよな? だったら、俺らのライブに来てみろよ」
春香「ライブ? ここで?」

冬馬からチラシを受け取る春香。

冬馬「こんなところで悪かったな。事務所を移ったのはいいが、今の事務所じゃ、デカい箱は押さえられねぇんだ。」

冬馬はトラックの方を振り返る。

冬馬「でも、悪くは無いぜ。961プロに居た時は、一緒にステージを作ってる仲間の顔もよく知らなかったが…」

その視線の先には荷降ろしを進めるスタッフ達。
北斗もそこでスタッフと打ち合わせている。

冬馬「…でも、そんなんじゃ信頼も何もねぇって話だよな。…まぁ、だから、お前らを、ちょっとは見習ってみたってところだな」
春香「え?」
冬馬「なんて言うか、団結力って言うか、仲間の絆ってのが、お前らのパワーの源、だろ? まぁ、だから…」

臭い台詞が好きだけど、言ってから照れる冬馬くんである。

北斗「おーい、冬馬」
冬馬「おう! …じゃあな。すぐ追い付いてやるからな!」
春香「……絆」

Jupiterの面々も元気そうで良かった。
このシーン中で流れていた「i」ピアノインストロメンタルも味わい深い。
Jupiterにも「i」に相当する楽曲ができるといいのになぁ。

場面は変わって、赤羽根Pの病室。
面会謝絶は解けたのか、病室には小鳥さんと、ベッドのそばの椅子に千早が。
赤羽根Pは右足やら首やら固定されていて、なかなか痛々しい。
そして、長い沈黙。

P「…どうした?」
千早「えっ、あっ、その…すみません、急に来てしまって」
P「…ゴメン」
千早「え?」
P「みんなに迷惑かけて。早く退院して、取り戻すから」

身体を動かそうとして痛みに悶える赤羽根Pは、小鳥さんにたしなめられる。

P「それで? 話くらいなら、聴けるぞ」
千早「…どうしたらいいか、分からなくて。…ある、家族の話です。いつも一緒で、仲が良くて、誰かが転ぶと、すぐ手を伸ばして助け合う。そんな家族が、いつの間にか、離れ離れになっていて…、転んだ時、いつも真っ先に手を伸ばしてくれた人が、一人で、悩んでしまっているのに…それを助けられないほど、みんなが、遠く、離れ離れに…」

黙って聞いている赤羽根P、訥々と語る千早。

千早「今なら、取り戻せるかもしれない。でも、それが正しい事なのか、自分にできる事なのか、分からなくて…」

病室の窓の近くには水仙が花瓶で飾られている。
結露して曇ったガラスに、水滴が流れる。

千早「私は、これまで家族と、いい関係が築けませんでした。だから、自信が無くて…」
P「…千早は、その家族の事が、大好きなんだな」
千早「はいっ、大切に思っています。とても!」
P「なら、大丈夫だよ。きっと、みんな千早と同じ様に、感じてると思う。家族って、そう言うもんだよ。大丈夫、みんなの事、信じてるんだろ?」
千早「はい…」
P「家族なら、大切な事は、ちゃんと伝えなくちゃな」
千早「はい!」

律子がノートPCでスケジュール確認をしていた部屋に、息せき切って駆け込んで来る千早。

律子「千早?」
千早「あの、お願いが!」

あぁ、20話の春香さんの構図の再現だ。

そして、数日後、だろうか? 冬の青空には、消えかけた飛行機雲と、そこに交差するように雲を引いて飛ぶ飛行機。
千早が「社長にまで掛け合って」レッスンスタジオへ召集したと言う春香と美希以外のメンバー一同。
美希は遅れて来るようだ。

真「僕、ここにはずっと来たかったんだ。でも、誰かに相談するとか、考えもつかなくて…」
響「自分も、周りの事が、よく見えて無かったかも」
やよい「でも、こうしてみんなで集まれて、良かったですね」
雪歩「春香ちゃんが居たら、喜ぶだろうなぁ」
千早「そうね。もっと早くに相談すべきだったわ。そうすれば、春香も…」
雪歩「…え?」
伊織「ねぇ、今日、千早が私達を集めた理由って…」
千早「話したい事があったの。…春香の事、それから、私達の事」
亜美「はるるんと…」
やよい「私達の事?」

住宅地らしきところを歩く春香さん。今日は帽子は被っていない。
公園で揃いの制服でたむろしている幼稚園児ぐらいの子供の集団を見つける。

「えー?そんなぁ、私、歌えないよぉ」
「大丈夫、歌えるよ」
「ま、下手でも聞いててあげるわよ」
「こーら、また意地悪ばっかり言うんだから」
「ふーんだ」

それを見て「真と伊織みたい」と笑う春香さん。
と、逆にその子達からも見つけられてしまう。

「あれ? あの人って…」
「あっ、だって似てるよ」

そして、子供達が駆け寄ってくる。

「ねえねえ、お姉ちゃんは、天海春香ちゃん?」
「本物なの?」
「本物だよ。テレビと同じだもん」
「ねぇ、歌って!」
「歌って歌って!」

一人に手を引っ張られ、

春香「じゃあ、ちょっとだけ」

子供達と「自分REST@RT」を歌う春香。
ふと、楽しんで歌う子供達に765プロの仲間達の姿を重ね、言葉を失い立ち尽くす。

子供「お姉ちゃん、どうかしたの?」
春香「ううん、みんな上手だね。お歌うたうの、好きなんだ?」
子供「うん!」

そこには、幼少期の春香の姿が。

小さい頃の春香「春香ね。おっきくなったら、アイドルになりたい! アイドルになって、それで、みーんなで楽しく、お歌うたうの!」
春香「…みんなで、楽しく?」
小さい頃の春香「うん!」
春香「でも…」

もう一人の自分に手を引かれるままその場を離れた春香は、夕焼けに照らされる電車に乗る。
車内には、真の起用された某スポーツドリンクの広告。ファッション誌の吊り広告には春を思わせる白いドレスの竜宮小町…

千早「みんなと同じ時間を過す事、みんなで一緒に前へ進んで行く事、少し前まで当たり前だった事が、私達それぞれの仕事が多くなって行った事で、難しくなってしまった。でも、一人一人のステップアップは、アイドルとして大切な事だし、活動の場が広がって行けば、すれ違いが多くなるのだって、仕方が無い。だから、春香は、何も言えなかったんだと思う。」
真「春香、いつも僕達に、声掛けてたよね。ライブの練習しよう、って」
響「それって…」
貴音「単に、練習のためのみでなく、共に過したいと言う心の現われだと…」
千早「変わらなきゃと言う思いと、変わってほしくないと言う思いを、春香はずっと、抱え込んでるみたいだった」
あずさ「春香ちゃんが休んでるのは、そのせいだったの?」
伊織「なんで言わなかったのよ! 話してくれたって…話してくれたって、いいじゃない」
真「いや、僕達が気付くべきだったんだ。なのに…」
雪歩「千早ちゃんが言ってくれなかったら、私…」
千早「いいえ。…春香のためだけじゃなく、これは、私の願いなの。私が歌を失いかけた時、手を差し伸べてくれたのは春香と、みんなだった。今の私にとって、765プロは、新しい家族なの。仕事を第一に考えるのは、私達の使命なのかもしれない。だけど…諦めたくない。お願い、力を貸してほしい」

と、そこに外階段を上がる足音が、

美希「遅れてゴメンナサイなの!」

「打ち合わせが長引いちゃって」と律子Pと美希が合流する。
美希に「生すか」の後番組の単独MCの打診があったと言う。

美希「でも、断っちゃった。」
一同「えぇっ?」
伊織「どうして?」
美希「迷子になっちゃいそうだったから。美希ね、アイドルのお仕事、楽しいの。キラキラで、ワクワクできるから。だから、前ばっかり見て、どんどん走ってって…」

皆に背を向けて鏡に向かい、自分に問うように語る美希。
そして、春香さんの歌う新曲「さよならをありがとう」が…

美希「…でも、気付いたの。このまま進んじゃったら、迷子になっちゃうかもって。何処へでも行けるのは、ただいまって帰れる場所があって、そこで笑ってくれる人がいるからかなって…」

一方の春香さん、小さい頃の自分自身のイメージに導かれるままに降り立ったのは、13話で最初のライブをした(東京ドームシティホールにそっくりな)「TOKYO EXCITE CITY HALL」。
日は沈みかけ、街灯が灯り始めている。

美希「そこに居る人が、笑ってくれるからかなって…」

急な突風に煽られて目を閉じた瞬間、あのライブが脳裏に巡る。

春香「…そうだね。みんなで、楽しく、歌って、踊って…子供の頃から、そうだったね」

小さい頃の春香は、握っていた春香の手を離し、ホールの入り口を背にして立つ。

春香「でも、みんな、嫌じゃないかなって思ったの。私の『みんなで楽しく』が、みんなの負担になっちゃわないかなって思ったら…怖くて」

小さい頃の春香「大丈夫だよ! きっと大丈夫」

そこに立っていたのはもう幼少期の姿ではなく、揃いのステージ衣装で立つみんなと自分自身の姿。
あぁ、ホールの入り口からの光が、ステージの上の光をダブらせてるんだ。

もう一人の春香「だって、私は、みんなを信じてるもん」

もう一人の自分から差し出された拳に手を重ね、受け取ったのは一粒のキャラメル。

もう一人の春香「大丈夫」
春香「…うん」

夕暮れの中の光の描写が見事で、思わず息を呑みます。
迷いを乗り越えた春香は、事務所への道を走る。その様子はまさに2期オープニングの再現だ。
と、そこで、ビル壁面の大型ディスプレイにみんなの姿が、

伊織「と言う訳で」
一同「「765プロ・ニューイヤーライブ、宜しくお願いしまーす!」」

画面の隅には「生中継」の文字が。
ライブ告知の時間を作ってもらったと言う事の様だが…

あずさ「みなさーん、見に来て下さいねー」
貴音「最高のパフォーマンスをお届け出来るよう…」
やよい「みんなで力いっぱい、頑張ります~!」
真美「って、あれあれ? 誰か一人、足りませんぞ」

そして流れ始めるイントロ。そう、これは伝家の宝刀「まっすぐ」。
インストロメンタルアレンジではなく、正真正銘元祖「まっすぐ」さんのイントロだ。
20話で使われたのはインストロメンタル)

一同「「春香ー!」」

いきなり画面から呼び掛けられて驚く春香、

真「春香、今まで待たせてゴメンね」
雪歩「私達、いつもの場所に居るよ」
やよい「みんなで待ってますー」
響「会って、いっぱい話そう!」
美希「待ってるよ!」
千早「…私達の、場所で」

春香はまさかのサプライズ・メッセージに涙を浮かべる。

春香「…うん! 待ってて」

再び、駆け出す。
そして、エンディングへ。

Ending

正真正銘エンディングであるところの「まっすぐ」さんなのです。
文字通りの、あるべき姿の「まっすぐ」さんと言っていい。

そして映像は、13話エンディングの様にこれまでのシーンを纏めたもの…
かと思いきや、時折、事務所へと走る春香さんの姿が挿入されます。
その横顔に、またしても涙腺決壊。

そして、事務所の前には皆が、あぁ、これはもしかしてもしかするのか。
もうすっかり夜だけど、赤羽根Pは居ないけど、2期オープニングのラストカットなのか。

春香「ただいま!」
一同「「お帰り!」」

そして最後に、第24話エピソードタイトル「夢」が。

次回予告

ちゃんと赤羽根Pも居て良かったです。

総括

ええ、何も結論なんか出しちゃいません。

春香の思いは、気持ちが環境の変化について行けない事への焦りから来た暴走したもので、美希の言う通り我侭だった。
ならば、その「わがままな」「勝手な」想いは、春香ひとりの胸の中に伏せられるべきだったのか。
それは違う。
話をして、その様な想いをぶつけ合う事で、お互いの認識の違いを、皆が望む有り様を、絆を確認しなければならない。
それで彼女達がどんな答えに至るかは、今回のラストカットの先、アニメに描かれるフレームの外の物語。


アニメ「THE IDOLM@STER」 第24話” への2件のコメント

  1. インストロメンタルではなくインストゥルメンタルもしくはインストルメンタルと表記すべきかと

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