アニメ「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS」 第06話

早くも6話です。
今期は第6話・第7話辺りで力尽きた感のあるアニメがチラホラ。
視聴者のクオリティに対する目が厳しくなり、一昔前より多くのリソースが必要になっているのに、無暗にアニメ化の数を増やすから、リソース不足で無理が出てくるんじゃないでしょうかね? 角川さん

現代日本設定のアニメでやたらと実在の背景を使うのは、作画工数を抑えるため、ですよね。
架空の街並みをゼロから考えるより、実在の街並みを撮影して下書きに使う方が、全体の工数は抑えられ、構図としての破綻も起きない。
動かすところと動かさないところ、寄せて描き込むところと引いて線を間引くところ、上手くバランスを取って、スケジュールが破綻しないよう、クオリティが落ち過ぎないように乗り切ってほしいものです。

第6話 Finally, our day has come!

先週ユニット名が決まった「new generations」、待望のデビューCDのレコーディングの様子から。
如何にも、な感じの曲だなぁw

プロデューサーの手にある真っ白なディスクのケースには、手描きで「できたてEvo!Revo!Generation!」と書かれた付箋紙が貼り付けられている。
曲名は決まったようです。(うむ、ちょっとダサいw)

それ言うたら「new generations」も十分にダサいだろ、と突っ込まれそうですが、アイマスでユニット名がダサいのはある意味伝統なので、そこはそれ。

Opening

来週遂にOP曲発売ですよ!発売!

Aパート

346プロダクションの応接室で取材を受けている「new generations」の三人。
インタヴュアーはまさかの善澤記者、そう、アニマス(TVアニメ「アイドルマスター」)世界における高木社長と黒井社長の古くからの友人でもある芸能記者さんですね。
TVアニメの最終回では876プロの3人を取材する様子が描かれ、その後、劇場版にも登場しました。

「じゃあ、お一人ずつ、CDデビューに向けてのコメントをいただけますか」
「はっ、はい!島村卯月です。…あの、とにかく、頑張ります!」
「渋谷凛です。…ん…まだ、実感ないけど、頑張ります」
「リーダーの本田未央です。みんなに、私達のCD、聞いてほしいです! ライブとかいっぱいやりたいし、ファンイベントかも、あと、テレビの歌番組とか…あっ、バラエティーとかも楽しそうだし、あと、ドラマも…それから…」

実質的に何も言えてないに等しい卯月や凛とは対照的に、未央はちょっと夢見がちな気はするけどかなり具体的。
それに、すごく前のめりで、アニマス最終回で善澤記者の取材を受けていた日高愛を思い起こさせます。
ってか、お前がリーダーか。うん、適任のような気はしなくもないけれども…

「はー、緊張した…」
「あーゆー時って、どんな事喋ったらいいのかな?」
「私は、もっといっぱい喋りたかったなぁ…」
「いや、十分喋ってたと思うけど」
「頼もしかったです。流石リーダーですね!」
「ホント? 私がリーダーだし、頑張って喋らなきゃって思って、でも、なんか地味じゃない? もっとバーンって、派手に記者会見とかやると思ってた」

お前は何を言ってるんだ。
何らかの分野で実績と知名度がある人の「転向」ならばともかく、完全無名の新人がデビュー会見なんて聞いた事無いわ。

「みなみんとアーニャは何喋ってるのかなぁ?」

さっきの部屋で、今度は美波とアナスタシアのユニット「LOVE LAIKA」が善澤記者の取材を受けている。

「はい、プレッシャーもなるべく楽しむようにして、ミニライブでは、皆さんの期待に応えたいと思っています」
「Наш…私達の歌、ファンの人達に、夢、たくさん、あげたいです」

それをドアの隙間から覗いている「new generations」の三人。

「おぉ、なんか、かっこいい」
「二人とも素敵ですね」
「うん」

更に…

「ふむふむ、あれが大人の魅力か」
「いいないいな!インタヴュー楽しそう!」
「後でみくもさりげなくアピールするチャンスにゃ!」

みくにゃんと愉快な仲間達(莉嘉、みりあ)、まだつるんでたのか。
みくにゃんの辞書に「さりげなく」なんてものがあるんですか?

「あーもう!うるさくて聞こえないじゃん!」

全然さりげなくなかった。
みくにゃん、崩した絵ではイチイチ猫目になるの楽しいなぁ。

「お二人とも、大人の記者さんの前なのにすごいです!」
「ふふっ、ホントは緊張して足が震えてたの。ね?」
「Да、すごく、ドキドキ」
「そんなふうに見えなかった」
「練習、少ししましたから」
「練習?」
「こんな事聞かれたら、こう答えようって。ちゃんと気持ちを伝えたかったから」

そこへ入って来る美嘉姉ぇ。

「うーす、聞いたよ、CDデビュー決まったんだってね。やったじゃん」
「えへへ」
「はい、ありがとうございます」
「しかも発売イベントまで。美波もアーニャちゃんも、良かったね」
「ありがとうございます」
「Спасибо」

美嘉ったらすっかり「みんなのお姉さん」ポジションになっちゃって…(うるうる)

「イベント、歌もやるんでしょ? ちゃんとレッスンしてる?」
「ふっふっふっ、ばっちし!」
「へー、緊張してるかと思ったら、以外と余裕なんだね」
「そ、そんなこと…」
「心配要らないって、しまむー。なんたって、美嘉姉のバックですっごいステージを体験しちゃったもんね」
「レッスンはしっかりやってると思うけど」
「まぁ、あんた達ならやれると思うよ。本番に強いのはあたしが一番、よく知ってるし」

未央が調子に乗ってる。乗りまくってる。
これ、大丈夫なのか。それとも、大丈夫じゃないフラグなのか。

そして、ダンスレッスンに励む三人。ベテトレさんのターンに眼福。

「お疲れ様でした。汗を拭いたら、衣装室へ行ってください」

新衣装キター! これはかわいい。

「この衣装を着て…またステージに立つんだね。あの時みたいに!」
「うん」
「しかも、今度は私達三人で!」

…いやもうコレは疑う余地無くフラグだわ。
リリース記念イベントのミニライブで「あの時みたいに」はねぇよ。つらい。

Pに連れられて、「LOVE LAIKA」の二人も衣装室へ。
「new generations」の衣装とは全然違うテイストだが、こっちも素敵。
背中がガッツリ開いてるなぁ。何と言うか、清楚さと色気を併せ持つなんちゃらかんちゃら。

「わぁ、ミニライブの衣装できたんだ」
「みーんなかわいいにぃ」
「差し入れ持って見に行くね」
「私も、応援するぐらいしかできませんけど、頑張ってください!」
「まっかしといて!みんなのトップバッターとして、ガツンとかましてくるから!」
「がっ、頑張ります!」
「うん」

しまむー、いつも頑張ってるな。
夕焼けに照らされた部屋で、イベント周りの手配の電話をしているP。
電話を終えたところに部長が入って来る。

「どうかね?準備は問題なく進んでいるかな?」
「はい」
「しかし、いい会場を押さえてくれたね。新人のデビューライブとしては最高のステージだ」
「私も、そう思います」
「このプロジェクトが、君にとってもいい転機になってくれると、いいんだがな」
「…はい」

転機ですか。やっぱりこのPは過去のプロジェクトでコケてる体なんだな。
その過去話に楓さんは関係あるんだろうか? あったとしても、向こうは気にしてない風だけど、

壁に掲げられた社訓の額が映る。

「新しい」アイドルのカタチ。
我々の求める、アイドルの理想像を追及します。

見つける、育てる。
グループのノウハウを生かした、多角的なスカウト活動。
それぞれの特性を生かす、独自の育成プログラム。

心を通わせる、感動の共有。
イメージに囚われない、多方面へのプロデュース展開。
活躍の幅を広く求め、人々と感動を共有します。

そして、花開く。

これはアレか。
まだPとメンバー達との間で「心を通わせる」には至ってない事を暗示してる?

そして、夜。
未央は友人に片っ端から電話をかけて、リリースイベントに招集を掛けている模様。
そして、しぶりんにも電話を、

「もしもし?」
「やっほー、何してるかなって思って」
「今、歌詞を見返してた。…うん、ちょっと気になるところがあって」
「あー、ユニゾンのところか。あっ、待って、それなら…」

そして、卯月へ。

「確かにそこは、三人で気持ちを合わせておいた方がいいですよね」
「そうだね。明日、もう一度相談しよっか」
「はい、それじゃあまた明日」

未央、ちゃんとリーダーしてるな。…怖い。
卯月の部屋、ゲームの方だと(中の人属性の導入により)軽く「汚部屋」設定が付いちゃってますが、アニメでは然るべく配慮された模様。
足元に雑誌の束がそのまま放置されていたりするのは、軽度の「片付けができない」描写なのかな?

そして翌日、いつものようにダンスレッスンを重ね、その後は「文花放送」へ。
言うまでもなく、浜松町駅からすぐの「文化放送」の建物です。
建物の外壁、そして中にも、「高森藍子のゆるふわタイム」のポスターが。
ここはやはり初出のN高森藍子の衣装なんですね。

ラジオにゲスト出演しての告知の後、事務所に戻ってからも一人でダンス練習の卯月。
そこへ「三人で練習した方が早い」と合流する未央、凛。いい光景だね。青春だね。
…落とすなら高いところから、だよね。

先程収録したラジオ番組の放送をプロジェクトルームで聞いているデビュー未定組。
「new generations」と「LOVE LAIKA」の写真撮影の様子、
ファミレスでサインを考えている「new generations」の三人(中の人の自筆の可能性あるね)、
ボイスレッスン中の「LOVE LAIKA」の二人、イベントの準備を進めるP、
デビュー未定組のCM撮影と思しきお仕事の様子
雑誌社等へ営業回りをしていると思しきP、etc,etc…
ついにベテトレさんから合格を貰い、他のメンバー達からも拍手を貰う三人。

「よーし、明日のミニライブ、絶対成功させるぞー!」

いよいよ明日ですか。
Pは衣装の荷造りをして、自分のデスクの引き出しからライトを出してチェック。
そこへ扉をノックしてちひろさんが、スタミナドリンクを差し入れに。

厳密に言えば毎回ではないけど、おおまかに言えばほぼ毎回な気がする。

「毎晩遅くまで、大変ですね」
「いえ」
「いよいよですね。みんな頑張ってますけど、最後まで目が離せないですよね。お城へ続く階段は、まだまだ長いですから」
「……そうですね」

ちひろさんの演技、ちょっと「大人の女性」方向へ寄せて来た感じ?

Bパート

そして翌日、リリースイベント当日の池袋サンシャインシティ。
見慣れた光景なので特に気にも留めなかったんだけど…

なん…だと…?
確かに、CM明け最初のカットの右端の人物はSideMの「桜庭薫」に似ている。
衣装まで合わせてあったら間違いないんだが、これはまだ偶然の可能性を否定できないレベルか。

それはそれとして、サンシャインシティ地下1階の噴水広場にてステージの準備が進む。
衣装に着替えた上で、スタッフから段取りの説明を受けている「LOVE LAIKA」と「new generations」。
その後、舞台袖からステージ周辺を覗いている未央と、それに気付いて声を掛けるP。

「どうかしましたか?」
「こんな感じなんだ…人が溜まったら、お店とか通る人の邪魔になりそうだよね。私、結構友達に声かけちゃったけど、大丈夫かな?」
「?? 大丈夫だと思いますが…」
「えっ?ホントに? …んー…まぁ、プロデューサーがそう言うならいいんだけど…」
「……ん?」

おぅふ…。案の定と言うか何と言うか、意識ギャップが出来てる。
確かに、話題のシンガーやコンテンツ絡みのイベントではそーゆー状況になるんですが、特にこれと言う話題性もない普通の新人アイドルのデビューCDリリース記念イベントでは…。
ここで未央の勘違いに気付けなかったのは痛い。

劇伴による雰囲気の制御も上手いな。
演出の狙いが見事に功を奏し、俺も、俺がTwitterでフォローさせていただいているP達も、この辺で胃が痛くなり始めていた。

「あと少しで開演だから、早く来てよ。」

控室にて、友人に電話をかけている未央。
時計が示す時刻は16時40分、開演まであと1時間20分。

「未央ちゃん、何人呼んだんですか?」
「とりあえず、クラスの友達全員」
「すごい!」
「あー、でも、もっと早く来てって言えば良かった。立ち見だから、後ろの人見辛そうだよね」
「上の階もあるし、大丈夫じゃない?」
「でもさー、せっかく来たのに…」

…辛いよ。辛いよ。
これ案外、凛の方がこの場所(サンシャインシティ噴水広場)の事情に通じてるんじゃないのか。
ってか、三人とも「見えなくなってる」んだろうけれども、

一方、「LOVE LAIKA」の二人は緊張の面持ち。

「…もうすぐね」
「…(黙って頷く)」

と、そこにノック。

「来たよ~」
「おっすおっす!」
「みんな!」

かな子、李衣菜、智恵理、蘭子、きらりんが到着。

「えっとね。差し入れ持って来たよ。はい、マカロン。お気に入りのお店のなの」

うわっ、すごいの来た。
これってパリ発祥の老舗パティスリー「ラデュレ」のマカロンですね。
40個入りの大箱なんて見た事無いぞ。量も凄いけど、ここのマカロンって1個400円ぐらいするよ。1万6000円ぐらいになる?

「…あ、ありがとう」
「って、こんなに食べたら衣装入らなくなるって」
「えー? 美味しいから大丈夫だよ」

…ワケが分からない。何が大丈夫なんだ。

大坪由佳、天才か。

「そうだ。あのね、みくちゃんと莉嘉ちゃん、みりあちゃんはお仕事で来れないけど、ムービーメールをもらってきました」

この三人、なんとなくつるんでたわけじゃなく三人でお仕事してるのね。
菜々さんの見切れ芸に噴いた。デビュー未定組はこの貪欲さに学ぼう。
きらりんも杏からのムービーメッセージ。うん、杏はまず起きよう。
更に、

「おっ、みんな来てるね。やっほー」
「美嘉姉ぇ!」
「袖でしっかり見てるからさ。ぶちかましちゃいなよ!」

おっきなきらりんの腰の後ろから、ひょいと顔を出してる美嘉がかわいいw
ってか、引きのカットだときらりんの肘より少し上に美嘉の顔があるのに、寄ったカットだと肘より下、腰の横になってるのは、美嘉が屈み過ぎと言うか、きらりん大きくなり過ぎと言うかw
きらりんと武内Pの大きさは、ちょっとした作画ブレが意外と目立ってしまうのが怖い。

「間もなく、開演時間です。スタンバイ、お願いします」

舞台袖の暗がりに立つPと、その周囲に「LOVE LAIKA」と「new generations」の五人。

「ん(咳払い)…今日は…」

緊張した面持ちの五人。その視線を受けて頬を掻くP、

「…第一歩目です。頑張ってください」
「それだけ?」
「頑張ります!」
「はい」
「Да」

ぐぬぬ、この中で未央だけは「第一歩目」の意識じゃなくなってるんだよ。辛い。
まさか、あの見事な、キラキラした第三話が「誤った成功体験」になってしまっているとは、怖い脚本だなぁ。

昨夜チェックしていたライトを付けて、足元を照らすP。

「行きましょう」
「「「はいっ!」」」

ライトが点き、音楽が流れ、前説の女性スタッフがステージへ。
舞台袖には先に出番が来る「LOVE LAIKA」の二人。

「美波、рукопожатие…握手しましょう」
「…ええ」

緊張が解けた様に表情が明るくなる美波。
手を握った二人の後ろ姿は、舞台袖の出口を覆うカーテンの隙間からの光に照らされて…
あぁ、本当にいい構図、いい絵を描くなぁ。思わず目頭が熱くなる。

その頃の「new generations」。

「大丈夫ですよね? いっぱい練習したし、きっと、上手く行きますよね」
「しまむー、大丈夫、楽しい事が待ってるって、私達知ってるじゃん。お客さんだって盛り上げてくれるし、ぜーったい上手く行く! ね? しぶりん!」
「うん。そうだね」
「ほら、だから自信持とうよ!」
「未央ちゃん…凛ちゃん…はい!」

既に十分にファンの付いているユニットですら、初ステージでは上手く盛り上げられるまでに時間がかかると言うのに、ファンが付いてない状態でそれはない。
あのステージは美嘉達のユニットが時間を掛けて育んだ、一緒に歩んできたファン達と共に作り上げた盛り上がりなのだ。

凛は相変わらず「一歩引いたポジション」を保っているのに、それでも状況を俯瞰できているわけでは無い、冷静に、客観的に見れているわけではないのだ。
養成所上がりの卯月は気付けたかもしれないんだけどな。卯月も凛も、未央の作り出す雰囲気に流されているのだろう。
と言うか、二人とも不安を解消してくれる未央の頼もしい言葉に縋り、酔(依)っている、と言えるのかも。
ブレーキとなるべき卯月と凛の個性・特性が機能不全を起こしていて、未央が悪いとも言えない。

何と言う構成だろう。
ずっと自信を持てずに不安そうだった「LOVE LAIKA」の二人にこそ力強さが感じられる一方で、ずっと自信満々の未央に対しては、今はもう不安しか感じない。
「new generations」はどんどんフラグを重ねて落ちるのを待つばかりなのに、「LOVE LAIKA」は今では眩しいぐらい輝いてる。
この構図の対称性は恐ろしい。上手いけど、上手いけど、泣きたくなるぐらい怖い。
最近の脚本家はこーゆーえぐい組み合わせを平然と書いてしまうね。

「それでは、お待たせしました。『LOVE LAIKA』の登場です。どうぞ!」
「はじめまして」
「「『LOVE LAIKA』です。」」
「聞いてください。私達のデビュー曲…」
「「Memories」」

おぉっ、これはまるで「Wink」の「淋しい熱帯魚」。
なるほど、クール系アイドルの先駆けと言える「Wink」から、儚げな少女のイメージとセクシーな大人の女性のイメージの同居するコンセプトをいただいたわけか。
確かに、アナスタシアと美波のコンビならばその方向性は硬い。上手いなぁ。

曲は「Memories」のまま、映像では「LOVE LAIKA」のステージシーンに、その後の「new generations」のステージシーンが挟み込まれるが、「new generations」の三人の表情は見えない。

なるほど、こう来たか。
ここでは「new generations」の「できたてEvo!Revo!Generation!」は流さず、「LOVE LAIKA」の「Memories」のみを描き切るわけだ。
ステージ直前の強烈な対称性の構図があればこそ、納得できる構成。絶妙なバランス感覚で組み立てられた強引な構成だ。
そして、「LOVE LAIKA」のダンスが手抜き無しで、かなり難しいと思われる作画にガチで向き合っているからこそ、「new generations」の描写が穏やかじゃない事になる。
これはちょっと、言葉を探してしまうぐらい残酷。

舞台袖で真剣な表情で見守るメンバー達、記録のためにスチル撮影していたPの表情が変わる。
「new generations」の三人を背後から映したカットで、観覧スペース側からのライトが落ちた瞬間、疎らな観覧スペースが映し出される。
そして、三人の表情が…

曲(「LOVE LAIKA」の「Memories」)が終わり、

「「ありがとうございました!」」

観覧スペースへ頭を下げる二人、観覧スペースからは拍手が。
決して多いとは言えない、しかし、少なくもない。足を止めて見てくれた笑顔の観客達がいるのだ。
安堵と喜びの表情で顔を見合わせ、観客へ手を振る美波とアナスタシア。

そして、「new generations」の曲も終わる。

「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
「…ありがとう…ございました」

未央の表情が固まっている。
卯月が声を掛けるも反応が無く、凛が挨拶の言葉を続ける。
観客からの拍手に交じり、未央の名を呼ぶ声が。
未央が視線を彷徨わせると、吹き抜けの上の階から3mほどの横断幕を下げたクラスメイト達の姿が。
それを見た未央は、足早に舞台袖に戻ってしまう。
後を追う卯月と凛。

やっぱり残酷な脚本だ。
同じ観客で、美波とアナスタシアにとってはやりきって成功させたステージ。だが、未央にとってはそうではない。
観客がもっと少なければ、あるいは、観客の反応がもっと冷たければ、視聴者の感覚も未央に寄り添えた。
だが、今この瞬間の視聴者の感覚は、「LOVE LAIKA」の二人にそこ寄り添うだろう。
空回りしていたのは未央だけ…に、してしまった。
何と言う巧妙な構図。ここまで残酷な事されると、むしろ「美しい」とすら思える。

舞台裏では手を握り合う「LOVE LAIKA」の二人。

「Рада 私嬉しいです」
「うん、私も!」

そこへ未央が、

「あっ、未央!」
「お疲れ様!」

俯いたまま、返事もせず通り過ぎる。その後を追う卯月。
その先では美嘉が他のメンバー達と話している。

「次は他のメンバーも頑張らないとね。あっ、お疲れー。良かったよ~…って、あれ?」
「ちょっと失礼」

その後ろにいたPが、メンバー達を掻き分けて未央を追う。

「本田さん、どうしました?」
「…なんで?」
「…え?」
「お客さんめちゃくちゃ少ないじゃん!なんで?!」
「十分です」
「あれで? 前のライブと、全然違うじゃん!」
「前の?」

…やっぱり勘違いしてた。あいたたた…
卯月と凛、そして美嘉も追い付く。

「すっごいライブやるからって、友達に言ったのに…早く来ないといい場所取れないからって…私、馬鹿みたいじゃん!」
「…未央ちゃん」
「もっともっと、前のステージみたいに、盛り上がると思ったのに!」
「それって、あたしのライブに出た時の事?」

Pも、開演前にステージ周辺を覗いていた時の未央との会話を思い返し、意識ギャップがあった事に気付く。

「つまり、あの時に比べて、盛り上がりが足りないと?」
「…うっ」

目を伏せる未央。
心配そうに覗いてるメンバー達。
困った時のいつもの癖、首に右手を当てるP、

「…いいえ、今日の結果は、当然のものです」
「えっ…当然…酷いよ! なんで?! 私が…私がリーダーだったから?!」
「いえっ」
「もういいよ! …私、アイドルやめる!」

目を見開いて凍り付くP、走り去る未央、後を追う卯月。
心配そうにその後を追う凛は、Pを忌々しげに睨み付けて行く。
そして、呆然と立ち尽くすPの後ろ姿…。

後述するが、ここの会話の擦れ違いは、何ともアイマスらしいと思える。
最初に見た時は変な笑いが出てしまったし、二度目に見た時はPの心情に共感を起こして眩暈がした。

Ending

メインテーマ「Star!!」のピアノアレンジで、終演後のステージと、砕けたガラスの靴。

感想

いやはや、何とも物議を醸してくれる脚本じゃありませんか。
やられた。これは舌を巻く。

一応、ゲームのモゲマスでも初期のイベントではバッドがあったんですよ。
ただ、「通常はバッド、極めて低い確率でグッド、課金アイテムを使うとパーフェクト確定」と言う構成だったために、コンシューマゲーム以上にユーザーのストレスを招いて強い反発を買ってしまい、現在は「通常はノーマル、低い確率でグッド、課金アイテムを使うとパーフェクト確定」と言う構成に変更されました。
確率を調整すればバッド自体は残して良かったんじゃないかと思ってるんだけど、延々バッドばかり引かされる状況が、当時、イベントを続ける気が削がれるほどのストレスになっていた事は確かです。

まぁ、それはそれとして、

これな。
第六話の放送から一週間以上、様々なP達が異口同音にこんな事を言ってました。
アケマスから箱無印、SP、DSでもちょっとだけ、そして「2」でも見られたコミュの「あるある」です。
未央の「お客さんめちゃくちゃ少ないじゃん!なんで?!」に対して、「十分です」と答えたらバッドコミュニケーション…なんて、初見では思わないじゃん。
この「理不尽さ」と言うか「意地悪さ」が、最高にアイマスっぽいw
そーゆー業の深いゲームだからこそ、「ディレ1」こと石原章弘ディレクターに対して愛憎入り混じった感情が向けられてしまう、とも言える。

それにしても、今回の脚本は思い切りました。
「登場人物の心情」を、表面的な事実関係の展開よりもずっと残酷に調理したと思います。
キャラクターの置かれた客観的・物理的状況を過酷にしようとすると、物語展開や設定に多少の無理をして「不幸な事故」なんかを作ったりしなきゃならんわけですが(そして、その様な無理な展開・設定が見苦しいと批判される脚本は実際少なく無いわけですが)、「客観的・物理的には何でもない状況・出来事」を、キャラクターにとって大きなダメージになるようお膳立てする巧妙さには感服です。

これって逆に言えば、「客観的・物理的には何でもない状況・出来事」であるが故に、キャラクター同士のメンタルの問題さえ解決すれば、完全に取り返しのつく事態と言う事でもあり、それはある意味、優しさ(あるいは、甘さ)なんだよね。今はそれを優しさと認める気にはなれないけどな。

ウチの連れなんかはこれ見た後で「未央ちゃんムカつくにゃ」言うてて、完全にみくにゃんに感情移入してる。
既存のP達は、まず武内Pに感情移入した上で、Pとして未央の気持ちを察して悶え苦しんでいたりする。
結局、誰も「直接的には」未央に対して感情移入させない、未央を孤立させる作りなのも上手い。
その結果、未央が孤立した事で「未央を孤立させてしまった」とPが苦しむわけだから、「アイマスってのは『苦しんでなんぼ』なんだよ」と言うのが巧妙に表現されている。辛い。
ディレ1のサディストぶりがアニメの脚本家にまで伝染しているな!

俺らプロデューサーだから仕方がないよ。


そうそう、この放送の翌日、お土産に例のマカロンを貰いました。
何でも店には行列が出来ていたそうで、「後ろに並んでたカップルもプロデューサーさんだったよ」との事。
前述の通りかなりお高いので、日常的に口にできるようなお菓子では無いんですけど、何と言う経済効果w

それにしても、武内Pの無表情の内側がやっと露出し始めましたね。
伏線的な描写はこれまでにも多々ありましたが、それらがぶわーっと立ち上がってくる感じ。
その辺りの事は、次の第7話で語れるようになるんじゃないかと。


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