アニメ「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS」 第07話

どの様に着地させるか、と待ち焦がれた第7話です。
先週も胃がキュンキュンしましたが、今週もキュンキュンでした。

第7話 I wonder where I find the light I shine…

砕け散るガラスの靴。

「当然? …酷いよ、なんで? 私がリーダーだから? …もういいよ、私、アイドルやめる!」

Pのもとを走り去る未央の姿と、それに重なる「シンデレラ達」のシルエット。
曇り空、照明の落ちたプロジェクトルーム。

「未央、本気なの?」
「未央ちゃん…」

凛と卯月の座る間にぽっかりと、未央がいるべきスペースが空いている。

「未央ちゃん、来ますよね? まさか、本当に…」

そこへ、Pが入室。

「ねぇ、未央、来てないよ」
「…そのようですね」
「…それだけ?」
「…あっ、あの…私、未央ちゃんの家に行ってみようと思うんですけど」
「未央の家、教えて」
「……それは…こちらに任せてください」

焦りの見える後ろ姿。
劇伴の不安感の煽りっぷりも半端無い。

黒バックに白字でただ「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS」とだけ。
シリアス回伝統のオープニング飛ばし、更にCMも入らずAパートへ。

Aパート

トレーニングルームでダンスレッスン中のメンバー達。

「未央ちゃん、来ないね」
「ミニライブの疲れで、とか…」

凛と卯月はレッスン中。
みく、李衣菜、莉嘉、みりあ、智恵理、かな子がフロアの隅に座って休憩している。
考えていても口には出し辛い事を、この場で言葉に出来る年少組のみりあ。

「未央ちゃん、やめちゃうの?」
「「えっ?」」
「じゃあ、new generationsも解散?」
「昨日デビューしたばっかりなのに」
「……そんなの、プロ失格にゃ! みく達より先にデビューしたのに」

せやな。
アニメ以前のP達以外は結構な割合でそう言ってたよ。

ダンス中に転ぶ凛。やはり動揺から集中力を欠いている?
一方、自宅の自室で横になっている未央。手にはスマートフォン。
ロック画面に「しまむー」「しぶりん」「プロデューサー」とメッセージ履歴が並ぶ。
そこに、更に着信が。

Pの手には「本田未央」を呼び出し中のスマートフォン。
どうやら未央の住むマンションの前から電話している模様。
だが、未央は着信には出ないでベッドの下へ投げ捨てる。

と、そこへ部屋の襖を開けて、未央の弟らしき少年が顔を出す。

「姉ちゃん、プロデューサーって人が下に来てるけど」
「…帰ってもらってよ」
「自分で言ってよ」

マンションのインターホンごしに応じる未央。

「会いたくない。…家にまで来ないでよ」
「…少しで構いません。お話を」
「だから! 会いたくないってば。帰って」
「…みんな、待っています」
「……。」
「…これは、貴方一人の問題では」
「そんなの分かってるよ!」

ここの芝居、鳥肌立った。
最初に未央の声を聴いて、Pが話し始める前の一息。
未央の故意に感情を抑えた冷淡な声と、
それに対してPの側も気持ちを抑え込んだ声、
更に、焦りの滲み出た声、そして、未央の強い拒絶。

すっごく理詰めの感情芝居。たまらん。こーゆーの大好物。
俺の中で武内駿輔さんと原紗友里さんの評価が鰻上りのストップ高。

場面は変わって、日が落ちてから、346プロダクション正面入り口を出て来た凛と卯月。
卯月は道に落ちていたガラス片を踏んづけてしまう。
と、そこへPが帰って来る。

「あっ、プロデューサーさん!」
「未央は?」
「……。」
「追い返されたの?」
「あの、私、やっぱり未央ちゃんちに行ってみようと思うんです」
「住所、教えてよ」
「それは、できません」
「なんで?」
「本田さんが、今は会いたくないと言うなら、その意思を、汲みたいと思います」
「それでいいの?」
「…用事があるので」
「ちょっと!」

いいかと問われれば良くは無いんだが、凛と卯月に解決してもらうべき問題ではない。
帰路の二人。

「…このまま、あの人に任せておいていいのかな?」

徐々にPへの不信感が強まって行く凛。
凛の後ろを少し離れて卯月。

「卯月?」
「へ?」
「どうかした?」
「あっ、すみません。色々あって、疲れちゃったのかな?」

皆の心情を表す、雨の夜。
そして、翌日のプロジェクトルーム。今日も昨日と同じく雨空。

暗い部屋に、一人不安げな凛。
トレーニングルームへ向かうも、更衣室にも誰もいない。
ルキトレちゃんが一人掃除をしていて、

「あら、まだ誰も来ていませんよ」

トレーニングルームのある棟のロビーのベンチで、どこかへ電話をかけている凛。
シーンは変わって、デスクでPCに向かっているP。
仕事に手が付かないようで、ため息をついてから、リリースイベント当日に撮影した写真へ手を伸ばす。
と、そこに凛が入室してくる。

「卯月が来てないんだけど」
「先程、連絡がありました。体調不良で、今日は休まれるそうです」
「未央は?」
「…まだ、連絡は」

最初は凛の方を向いていたPも、未央の話になると徐々に俯きはじめる。

「…私達、どうなるの? …このまま未央が、来なかったら」
「……こちらで調整を」
「調整? 何それ?」
「…その…皆さんは、各々出来る事をおこなってください」

もう完全に下向いてる。
目線はデスクの上のモニターと、手元のキーボードの間ぐらいだろうか?

「……出来ない! この状況は何なの? あんたはどうするつもり? 納得のいく答えを聞かせて!」
「…見解の相違が…あった事は認めます」

気圧されて顔を上げ、凛の方を見たPだったが、すぐに酷く気弱な表情で視線を彷徨わせる。
すごく分かり易い「逃げ腰」の表現。

「だったら尚更だよ! なんで未央を連れ戻しに行かないの?」
「まだ…本人が本調子では無いようなので…」

さっきの「対未央戦」はどちらかと言うと顔の表情以外で感情が表現されていたのに対して、ここではストレートに表情で表現される。
不安げなP、追及されて逃げ出したい気持ちのP、そして、逃がすまいと食らいついていく凛。
音監のディレクションや声優の技量に頼るのではなく、原画も作画も作品に食らいついている。
こーゆー「皆が本気」の密度の高い仕上がりが見られる作品は、年間でも数えるほどしかない。

「逃げないでよ!」

あからさまに怯えるP、劇伴は「Nation Blue」のバイオリン&ピアノアレンジへ。

「あんた言ったよね。ここに来れば、今までと違う世界があるって。初めてステージに立った時、完成した曲を聴いた時、私、見つかるような気がした。夢中になれる何かってやつ。でも今は、見つかる気がしない」

凛の声が今まで無かった低さだ。ここまで凛のキャラクターとして許容されるのか。
ここまで低いと、ほとんど福原綾香さんの地声に思える。悪い意味ではなく、

「教えてよ。見解の相違って何? なんで未央を連れ戻さないの? …あんたは、何を考えてるの?」
「…申し訳ありません」

うわー、武内Pは武内Pでこの声を出しちゃうのか。アニメでこれ出るんだ。出すんだ。
追い詰められて、口の中がからからになって、舌が喉に貼りついてるんじゃないかってぐらいの時の、絞り出すような擦れ声。覚えがあり過ぎて口の中が苦くなる。こんな生々しい芝居は実写作品でもそうそうやらないよ。
二人の表情芝居も相まって、ずんと揺さぶられるシーンになっている。ここは先週の終盤以上に胃がキュンキュンする。
これ、まさか17歳が一発で出した声じゃないよね? どんなディレクションだったのか聞いてみたいなぁ。

「……信じてもいいと思ったのに」

動揺の表情。
再び、凛と重なってPの元を去る「シンデレラ達」のシルエット。
一人立ち尽くすP。やっぱり、過去に担当アイドルに逃げられてるんですね。

凛は事務所に出て来た智恵理、かな子とすれ違う。

「凛ちゃん?」

そして、更衣室。

「帰ったって、どーゆー事にゃ?!」

智恵理とかな子から話を聞いたみくにゃん。
他にも、莉嘉、みりあ、李衣菜、きらりが居合わせて関心を寄せている。
遠近法も相まって、きらりがめちゃくちゃデカい。

「声かける間もなくて…」
「卯月ちゃんも、お休みらしいにぃ」
「これはいよいよ、本当に解散って事もあるかも…」

莉嘉とみりあから報告を受けた美嘉。

「あの時…私がステージに誘ったから…」
「どうしよう、おねぇちゃん」
「あんた達のプロデューサーは、なんて?」
「…なんにも」
「あの人、何考えてるか分かんないんだもん」

せやな。
部長に報告しているらしきちひろさんの姿。
そして、凛は帰宅。

「あら? 早いのねぇ」

凛ママの声は聞いた事あるぞ。分かる気がするぞ…これは…(大地葉さんでした)

自分の部屋で、ベッドに転がる凛。
頭の側を見上げると、ベッドの横の机に置かれた「new generations」と「LOVE LAIKA」のCD、そして、アネモネが一輪。
第一話の構図で対比的に描いている。

「Nation Blue」アレンジの劇伴がピアノの余韻で終わり、外の雨音だけが残る。
シーンに劇伴の尺を合わせるのは、制作の流れとしてはそれほど珍しくも無いかもしれないが、実際の成果物、出来上がったアニメにおいて、これが綺麗に嵌っているものは意外と珍しい。
ある作品を持ち上げるために他作品を下げるのは品が無いとは思うが、つい先日、某音楽誌において、曲とシーンがイマイチ噛み合ってないテレビアニメの劇伴担当の作曲家が、アニメ制作上の注文に対して劇伴担当としてどの様に応えているか、を熱く語っていて、「やる」のと「出来る」のの間には高い壁があるのだなぁと驚かされた。

「以上が、次回のイベントの概要です」

Pの部屋で、「LOVE LAIKA」の二人、美波とアナスタシアに説明しているちひろさん。

「もし、分からない事があれば、質問してください」
「「はい」」

Pの言葉が「P自身が分からない事の答えを求めているかのように」、真逆に聞こえる構図は脚本の妙。
だが、美波とアナスタシアもそんなものは求められても出せない。

「失礼します」
「あのっ ……先日のステージ、どう、感じられましたか?」

これはPの精一杯の「すがり」だろう。
この様な「縋り」を重ね、皆からヒントを集めないと乗り越えられない。
たぶん、凛に逃げられる前の時点ではまだ、自分だけで解決できると思っていて、縋れなかったのだと思う。

顔を見合わせてから、話し始める二人。

「ステージの間は、頭が真っ白で、歌うだけで精一杯でした」
「でも、歌い終わった時、拍手、もらいました」
「ここが、私達の第一歩なんだって思ったら、嬉しくて…でも、今はこんな状況で…」
「どうしていいのか、分かりません」

場面は変わって卯月の家。

「熱下がって良かったわ。今日はゆっくりしてなさいね」

卯月ママは誰かの兼ね役なんだけど、まだ誰か分からぬ。

「凛ちゃん、心配かけちゃったかな?」

冷えピタをおでこに貼ってベッドに横になっている卯月。
手にしたスマートフォンで、凛からの着信履歴を見ている。

「未央ちゃん、今日は来ますよね。きっと」

と、そこに部屋のドアをノックする音が。

「なぁに? ママ」
「…具合は、如何ですか?」
「……えっ? ええ~?!」
「突然、申し訳ありません。お見舞いの品だけ、おいていくつもりでしたが、…その…お母様が、どうしてもと」

本人に知らせずに部屋まで上げようとするとは…、卯月ママ侮れぬ。

「えっ…ええっと(汗)」
「置いて帰りますので、どうぞ、お大事に」
「ぷ、プロデューサーさん! あの…下で待っていてください。すぐ、行きますから」

ぼっさぼさの髪で慌ててる卯月かわいい。

Bパート

雨は降り続ける。
自宅の花屋で店番してる凛は憂鬱そうに頬杖。

戻って、卯月の家。

「すみません、こんな大事な時に、風邪なんて」

窓際の写真立てに父親の姿が見えないのはちょっと気になるかな。
あと、卯月ママかわいいな。

下のリビングに降りて来たものの、相変わらず髪はぼっさぼさに暴れてる。
冷えピタを剥がして、パジャマの上にカーディガン羽織っただけか。
髪を恥ずかしがって入るが、気が付かなかったと言うよりは、短時間では収拾がつかないレベルの癖っ毛なので諦めたのではないだろうか?
…かわいい。

「この子、ちゃんとアイドルやれてますか?」
「ええ」
「この前の舞台もそうとう不安だったみたいで、ずーっと一人で練習してたんですよ。それでね…」
「ママっ!もういいから」
「ふふっ、ごゆっくり」

お茶とお菓子を持ってきて卯月ママ退場。

「プロデューサーさんも、風邪なんですか?」
「え?」
「なんだか、元気無いような気がして」
「いえ…」

Pがふと目を上げると、テレビの横に「new generations」のCDがたくさん。
16枚買って、はじの1枚だけ開封済みなのがリアルだ。ご近所や知り合い、親戚に配るのだろうか?

「私達、この先、どんなお仕事するんでしょう?」

卯月の声は今尚明るい。未来を信じている声と表情。

「島村さんは…」
「ん?」
「今後、どうなりたいと、お考えですか?」
「え? ん~、憧れだったステージにも立てましたし、CDデビューも、ラジオ出演も出来ましたし、…あっ、次は、テレビ出演できたらいいなって」

全然ぶれずに未来への希望を語る卯月に、驚きの表情のP。

「…あの、実は、この前のミニイベントなんですけど…」

身構えてしまうP。背筋から何から、筋肉が強張ってぎゅっと収縮する姿勢の変化。

「ちょっと、心残りがあって…」

膝の上の拳を握り締める。いわゆる対ショック姿勢。

「私、せっかくのステージなのに、最後まで、笑顔でやりきる事ができなくて…」
「えっ?」

俯いていた顔を上げ、目を見開くP。

「だから、次はちゃんと最後まで、笑顔でステージに立ちたいなって。凛ちゃんと、未央ちゃんと一緒に」

ボサボサ卯月が天使だった。
どこまでもまっすぐに、自分達の未来を信じている卯月の言葉に、Pはやっと自分のやるべき事を理解する。

「明日には体調も…(くしゃみ)」
「無理はなさらず」
「はい」

卯月の家を後にしたPは、いつしか走り出していた。

「プロデューサーさん、明日からもまた、よろしくお願いします」

プロダクションに戻ったPは、机の上の写真を持って再び部屋を飛び出したところでみく達に鉢合わせる。

「プロデューサー! ちゃんと聞かせて、この部署はどうなるの?」
「未央ちゃんは? 凛ちゃんは?」
「やっぱり辞めちゃうの?」

「new generations」以外のメンバー全員集合。
リリースイベントでは微妙なビデオメッセージ寄越した杏まで揃ってるのが面白い。

「何だか大変な事になってるんだね」

杏も無関心と言うわけではないのね。

「やっと、やっと、デビューまで信じて待っていようって思えたのに、みく達、どうしたら」
「大丈夫です。new generationsは、解散しません。誰かが辞める事もありません。絶対に…彼女たちは、絶対に連れて帰ります。だから、待っていてください」

真剣な表情で話を聞いているメンバー達。そして、ドアの外では部長も。
部屋を出て部長と鉢合わせたPは、会釈をして立ち去る。
Pの後姿を見送る部長。と、そこには様子を見に来た美嘉の姿も。

部長は美嘉を連れて、メンバー達が残った部屋へ。
美嘉がいわゆる「千早アーム」と呼ばれる不安げな佇まいで部長の後ろに立っている。

「やあ、どうしたね? みんな」
「あの、私達…」
「プロデューサーを、待ってます」
「それじゃあ、その間、ちょっと話でもしていようか?」
「お話?」

雨の中を走るP、

「そう。…昔々あるところに、とても真っ直ぐな男がいてね」
「男はいつも真っ直ぐに道を示した。シンデレラ達が、正しく進めるように、真っ直ぐ、真っ直ぐ」
「でも、正しい道でも、真っ直ぐな示し方でも、時と場合によっては、息苦しく感じてしまうものだ」
「結果、何人かのシンデレラ達が、男の元を去って行った」
「それ以来、男はとても臆病になってしまった。そして男は自分を、シンデレラ達をお城へ送る、無口な車輪に変えてしまった」

駅構内は走ってはいけません。
楓さんや美嘉は、その時のユニットを知ってるんだろうか?
「夕映えプレゼント」アレンジの劇伴がなんだかホッとさせるなぁ。

「それって?」
「プロデューサー、ですか?」
「ふふっ、さぁて、その魔法が解けるかどうか、もう少し、待ってみようじゃないか」

一方の未央、まだベッドに転がってる。
手にしたスマートフォンの画面には卯月からのメッセージが並んでいる。
電池の残量表示が最低レベルだ。

「しまむー、ごめん、リーダー失格だよ…」

と、そこにPからのメッセージが届く。

本田さんへ。
もう一度だけお話させていただきたいと思い、今、お宅の下に参りました。
急で大変申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。

あっ、電池残量表示が赤くなった! これラストチャンスか。

「えっ? 今下にって…」

未央が窓から外を見ると、マンションの駐車場には傘もささずに雨に打たれているPが。
ここはちょっとだけ構図上の嘘がありますね。未央の部屋のアルミサッシのガラス戸の外にはベランダの柵が見えているので、ベッドから半身起こしただけでは柵の向こうは見下ろせないでしょう。

「なんで…あんな事、言っちゃったのに……あっ」

通報されたらしく、「住民であろう通報者のおばちゃん」を連れた「透明ビニールのレインコートを来た警官」に声を掛けられているP。作中で既に3度目かw

「うぇっ、ちょっ!!」

警官に職質食らいそうになってアイドルに助けられる事に定評のある武内P、

「すみません、私、てっきり不審者かと」

マンションの正面入り口で、立ち去る警官とおばちゃんに頭を下げているP。
その後ろに、パーカーのポケットに手を突っ込んだ未央。

「じゃあ…」
「あっ、待ってください」
「……辞めるって言ったよ」
「…っ」

言葉に詰まるP、一瞬目を伏せるも、立ち去る未央を見て…

「本田さん! もう一度、ちゃんとお話を、させてください!」

自動ドアに挟まるP、あかん、かわいいw
でも、今のドアの音は自動ドアと言うよりエレベーターのドアの開閉音だな。

「これって…」
「先日のイベントの写真です」

エレベーターの前で話す二人。
しゃがんだ未央の手には写真の束、その横に立つP。

「何これ、私、全然笑えてないし」
「先日、あれが当然の結果と言ったのは、失敗して当然、と言う意味ではありません。あれは、成功だと思っています」
「は? どこが? お客さんだって、全然…」

Pは未央の隣にしゃがみ、写真を指さす。

「その次を…」

写真をめくった未央は、何かに気付く。

「いい笑顔だと、私は思います」

Pはあの時、舞台袖側から観客の方を撮ってたね。

「確かに、身内を除けば、数は多くありません。ですが、その人達は足を止めて、貴方達の歌を聴いてくれていました」

あの時の写真のアングルではないカットもありますが、それは演出ですね。

「拍手、貰ってたのに…ダメだな。私…」
「…いえ、これは私の」
「私さ、お客さんの数ばっかり見てて…そっか、失敗じゃなかったんだ」

顔を伏せる未央。

「もう!だったら余計ダメじゃん!私の勘違いで、みんなのステージダメにしちゃって…私、逃げ出しちゃったし…リーダーなのに、全然ダメじゃん!」
「……本田さん、戻りましょう」
「…どーゆー顔で会えばいいわけ? みんなに、迷惑かけて」
「だからこそ、このままはいけないと思います。私は、このまま貴方達を、失うわけにはいきません」

未央の心情を慮っている表情からの、強い意志表明。
Pは普段表情が乏しいから、と言うのもあるだろうが、今回は表情芝居が本当に素晴らしい。

涙を拭き、顔を上げる未央。
外では雨がやみ、雲間から日差しが覗いていた。

シーンは変わって、第一話でも登場した、卯月の帰り道にある街頭看板の風景。
卯月の帰り道=凛の自宅近所と言う事でもある。
白坂小梅主演ドラマ「Zombi Girl」の広告は、大槻唯出演の「なりたい私になれる! RE:JOB」に変わりました。転職エージェント系かな? その下の876プロダクションの広告はそのまま。
765PRO ALL STARSの新アルバムの広告が出ていたエスカレーター横は「CINDERELLA GIRLS ☆ WINTER FESTIVAL」LIVEDVD & BLU-RAYの広告に。ええ、第一話アバンタイトルのあのライブです。もう円盤化か、早いな。
川島さん出演の学習塾の広告も、英会話スクール「週末英会話 A to Z」の広告に差し替わりました。川島さん続投だけど、今回は浴衣姿で。素晴らしい。

そして、第一話で卯月と凛が話した公園で一人、デビュー曲「できたてEvo!Revo!Generation!」を口ずさんでいる凛。
日が落ちて暗くなりつつある中、ベンチに座って歌う凛の足元に、凛を気遣う様子の愛犬ハナコ。
ハナコへ少し笑みを返した後、溜息をつく凛。

「しぶりん!」

そこへ駆けつける未央とP。

「未央、プロデューサー…」
「しぶりん、私………ごめん! 私、辞めるって言って、リーダーなのに、逃げ出しちゃって、迷惑かけて、ごめん! でも私、このまま終わりたくない! アイドル、一緒に続けさせてほしい」

でも、凛は未央に対してよりもむしろPに対して怒っているわけで、

「渋谷さん」

俯きがちだった目を上げる凛。

「あなたの言う通り、私は、逃げていたのかも知れません。貴方達と、正面から向き合う事から。貴方達を混乱させて、傷付けてしまいました」

その目に、正面から向き合うP。

「…嫌なんだよ。アイドルが何なのかよく分かんなくて、分かんないまま始めて、よく分かんないままここまで来て、でも、もうこのままは嫌。迷った時に、誰を信じたらいいか分かんないなんて、そーゆーのもう、嫌なんだよ!」

凛の不安が転化した憤り。年齢相応だと思う。
でも、怒りに変換されていない素直な不安の表明は初めてだ。どちらかと言うと強がる子だからね。

凛に歩み寄り、手を差し出すP。

「努力します。もう一度、皆さんに信じてもらえるように」

その手を取りかけて躊躇する凛に、未央が駆け寄り、二人の手を取る。

「しぶりん!(涙声)」
「もう一度、一緒に見つけに行きましょう。貴方が夢中になれる何かを」

頷き、ベンチから立ち上がる凛。

Ending

「明日からも、よろしくお願いします」
「「はいっ」」

今回もそのままED曲およびエンドロールを重ねるスタイル。
これ何度目だ。基本的に尺が足りて無いじゃないかw
アニマスEDに引けを取らない贅沢な事をするなぁ。
「夕映えプレゼント」イントロの入るタイミングが絶妙で泣ける。

そして翌日、晴天。
プロジェクトルームにて、他のメンバー達に詫びる未央と凛。

「「ごめんなさい!」」

マスクをした卯月が二人に抱き付く。

「凛ちゃん、未央ちゃん、よかったです~(涙声)」
「ごめんね」

卯月も不安に思ってたんだな。
でも、それを態度に出さないのが卯月のスタイル。
そして、Pはそんな卯月に救われた。

「皆さん、待っていてくださってありがとうございました。改めて、シンデレラプロジェクトを進めていきたいと思います。一緒に、一歩ずつ、階段を登って行きましょう」
「「「「はいっ」」」」

やっと、7話にしてやっとスタートラインに立ったような感覚。

「あのさ、プロデューサー。試しに、丁寧口調、やめてみない?」
「え?」
「確かに、ちょっと固過ぎるかもにゃ」
「険しき壁を越える時か」
「きらりも、それがいいと思うにぃ」
「あたしもさんせーい!」
「あたしもいいと思うよ!」
「あ、その方が私も、その…」
「お話、し易くなりそう」
「…努力しま…す、する」

お前らが敬語使えよ、と言ってはいけない。
立場の違う者が互いに遠慮なく考えをぶつけ合うための提案なんだから、

そうやってわいわいやってるプロジェクトルームのドアの外に、美嘉ねぇがポツン。
それをみつけたちひろさんが声を掛ける。

「入られては?」
「部外者だし、遠慮しとく」

楓さんと言い、美嘉と言い、この微妙な匂わせ方が憎いなぁ。

そして、再びサンシャインシティの噴水広場へ来た「new generations」の三人とP、

「次のステージ、楽しみですね」

卯月の言葉に、未央と凛は顔を見合わせて笑う。

「卯月はぶれないね」
「そーゆーとこ、ちょっとかっこいいよ」
「えっ?」

ジャンケンをする三人。

「よし、じゃあ、改めて!」

与えられたガラスの靴ではなく、自分達でもう一度、最初の一歩を。

感想

予想以上に「演技で魅せる」回でした。
声のお芝居も、構図や絵のお芝居も、骨太の演技で筋立て以上の説得力を見せてくれました。
こーゆーアニメが見られるのは本当に幸せです。

「(脚本の)高橋龍也さすがだわー」と評してしまえば簡単ですが、氏が担当する他のアニメの脚本以上に、全体のレベルを、クオリティを要求していると感じます。
生半可な演技、生半可なコンテや演出では、この脚本は生きないでしょう。
その辺りは、他のスタッフ達に対する信頼なんでしょうかね。
6話と7話で脚本担当を分けているのにも驚きます。6話は土屋理敬氏なんですね。アニマスの時以上に強く綿密に束ねられた脚本陣が出来上がってるなぁ、と。

正直、あまり語る事無いね。
密度が濃かったから、作中でほとんど説明され尽くしてる気がする。
残ってるのは、故意に「ご想像にお任せします」的な描写がされてるところだけだもんね。
未央も凛も卯月も、とても濃厚に描写されて、とても印象深く刻まれました。
最後には卯月も凛もPも「未央を一人にしない」想いで動けたのが熱かったと思います。

で、次回は特別篇だそうです。
おいそこ、「SHIROBAKO」第3話「総集編はもういやだ」のキャプチャを貼るんじゃない!
武内P地上波初登場とは楽しみですね。


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