残すところ後3話となりました。
そして、満を持しての春香さん回。一応、前半(第1クール)にも春香さん回的なものはあったわけですが、21話から22話にかけて張られた伏線が立ち上がり、いよいよアニマスと言うひとつの物語のクライマックスへ…
うぅっ、春香さんがどんな苦難に追い込まれるかと想像しただけで胃が痛い。
(全話放送終了に伴い「Read more」記述を解除しています。)
第二十三話「私」
春香「お疲れ様でしたー!」
面妖な着ぐるみ等、衣装や小物の箱が雑多に並ぶ廊下を踊るようにご機嫌な足取りで抜けてテレビ局から出てきた春香さん。
局の前でタクシーに乗り、「新宿まで」と行き先を告げる。
タクシーの中ではラジオで「七彩ボタン」が掛かり、春香さんも口ずさむ。
ポッキーを咥えながらバッグから音楽誌を取り出す。その表紙を飾っているのは千早。
タクシーが途中で追い抜いたアドトラックは貴音さんがカップ麺を宣伝するもので、街の壁面大型モニターでは真が出演するCM、電気屋の店頭のテレビ画面には春香さんの姿も。
春香さんが読み進む音楽誌には、やよい、雪歩、響が一緒に写るページも。
もう新宿辺りだなぁと思ってたら、もろ新宿駅東口の光景。そこには美希の「relations」の看板も。
タクシーがレッスンスタジオに到着し、降りて駆け出した春香さんは転びかけるが…
春香「あっ……はぁ…ぎりぎりセーフ!」
お前ら「春香さんが転ばないなんて不吉」とか言うなぁ! ああ見えても成長してるんだよ!
春香「おはよー」
室内では千早と雪歩が柔軟運動をしていて、やよいの柔軟を響が補助している。
春香「伊織たちは、まだなんだ? ちょっと渋滞気味だったから、あたし最後かと思っちゃった」
雪歩「あのぉ、伊織ちゃんたち、仕事が押してるから来られないって、連絡が…」
春香「えー?」
千早「全員集まるのは、難しそうね」
春香「そんなぁ、ニューイヤーライブの合同練習初日なのに」
千早「仕方ないわ。ここに居るメンバーだけでも、合わせましょう」
春香「うん、だよね。ライブまで時間も無いし、みっちりやろう!」
やよい「あのぉ、それが…」
響「ゴメン!」
やよい「ごめんなさい」
響「自分達も、途中で抜けちゃうんだ」
春香「えー?」
前回(第22話)で分かっていた事ではありますが、みんなそれぞれに忙しいんだなぁ。
「みんな」にこだわる春香さんとのギャップが出て来そうで怖いんですが…
Aパート
事務所前には門松が飾られており、中では小鳥さんが電話の対応に追われている。
基本的には「スケジュールが埋まっていてお仕事が受けられない」と言う状況みたいだ。
と、そこに春香さんが、
春香「ただいまー」
ホワイトボードは12月と同様に真っ黒。
部屋のそこかしこに段ボール箱が詰まれており、中にはファンからのプレゼントが。
「春香」の札の貼られた箱から頭を出した熊のぬいぐるみを撫でる春香さん。
小鳥「ふぅ~……あらっ、お帰りなさい」
春香「ただいま、小鳥さん」
給湯スペースで二人分のココアを用意する小鳥さん。
小鳥「春香ちゃん、この後、何か予定あったかしら?」
春香「いいえ。ただ、事務所に戻ってこないと、一日が終った気がしなくて」
小鳥「うふふ……戻って来てくれるのは嬉しいけど、明日も午前中は雑誌の取材でしょ? 午後もテレビの収録だし、身体を休めるためにも、無理せず、真っ直ぐ帰っていいんだからね」
春香「はい、ありがとうございます」
小鳥さんから出されたココアを手にする春香さん。
小鳥さんは自分のデスクに戻り、ココアを飲みながらPCを操作している。
春香「小鳥さん」
小鳥「うん? なあに?」
春香「今日、あたし以外に、誰か事務所に来ました?」
小鳥「春香ちゃんだけよ。まぁ、これだけスケジュールが詰まってると、なかなか、ね」
春香「…ですよね」
春香がココアを飲む音が響く静かな事務所に、外の廊下から足音が。
P「ただいま戻りました」
小鳥「お帰りなさい。プロデューサーさん」
P「うわー、寒かったぁ~。あ、春香、来てたのか」
春香「はい、おかえりなさい」
P「うん、ただいま。…調子はどうだ? 何か変わった事は無いか?」
春香「うーん、あっ、今日は、一回も転ばなかったんですよ。すごいと思いません?」
P「へぇ、すごいじゃないか」
小鳥「奇跡だわ」
春香「えへへへへ」
…突っ込んじゃダメだ。突っ込んじゃダメだ。
P「じゃあ、ご褒美にいいものを見せてやろう」
赤羽根Pが出して来たのは、「刷り上ったばっかり」と言うニューイヤーライブのパンフレット。
ニューイヤーライブ…ニューイヤーライブ…新春イベント…ギギギギギ…
小鳥「うわー、みんなかわいいですねぇ」
P「自信作です。今年最初のライブだから、絶対成功させないと。今はみんな本当に忙しくて、スケジュールも合わなくて大変だけど、全員で力を合わせれば、きっと素晴らしいライブになるはずだ。頑張ろうな、春香」
春香「はい! みんなで、成功させましょう。プロデューサーさん!」
ここで「まっすぐ」さん(インスト)再登板である。
なるほど、つまり、最終回はニューイヤーライブと言う事だな!
そして、みんなにメールをする春香さん。
春香「よーし、みんな、団結だよ、団結! みんなの力を合わせて、ライブを成功させようね。そのためには、みんなの時間を合わせて、合同練習だよ。本番まであと少ししか無いけど、みんなで頑張ろうね」
春香さんの意気込みはよく分かるんですが、胃が、胃がキリキリ痛むよう!
たぶん、「みんなで」の意味合いに食い違いが生まれていると思うんだ。
それはそれとして、この春香さんモノローグの間の映像も大変興味深い。
最初に、春香が亜美真美とお揃いの制服姿で話している教室は、どう考えても「G4U! Vol.2」の撮影現場と言う体裁ですし、その次の伊織と話している局の廊下らしき場所、後ろのポスターは左から「高槻やよいのお料理さしすせそ」「あず散歩」「生っすか?!サンデー」「新幹少女TV」…
そしてある日の撮影後、スタッフに呼び止められる春香。
スタッフ「あ、天海さん」
春香「はい」
スタッフ「ちょっと、お話いいかな?」
春香「あっ、えっと…」
スタッフ「そんなに時間かけないけど…」
春香「…ゴメンナサイ! 今日だけはダメなんです。ホントにすみません」
ぐぬぬ、そのレベルで「急ぐ」必要があるのだろうか?
ニューイヤーライブも大事だけど、それ以外のお仕事を疎かにしてまで、と言う事にはならないと思うんだ。
新宿駅中央線のホームから階段を駆け足で上がる春香。
その階段のところの看板に「会場72」とか見えた気がするが、…うん、気のせいだな。
レッスンスタジオに着くが、そこで待っていたのは真、あずささん、千早、雪歩の四人。
春香「みんなは、まだ来てないの?」
千早「水瀬さんと我那覇さん、前の仕事が押して、どうしても無理らしいの」
春香「えっ、そうなの?」
あずさ「亜美ちゃん達も、収録が終らないみたいなの。春香ちゃんに、謝っておいてって、」
春香「そうですか」
更に、美希からは「ひこーきが遅れて、いま羽田なの(T△T)」と言うメールが。
春香「美希も、無理みたい…」
真「…やっぱり、全員で練習するのは難しそうだね」
雪歩「去年は全員でいっぱい練習できてたのに…」
やはり5話を思い起こさせる「Night」アレンジのピアノインスト。あの時はまだ見ぬ未来を夢想するシーンの劇伴だったものが、前回22話から優しい過去を振り返るものとなっている。
春香さん、自分の頭をコツンとして、
春香「しょうがないよ。今日は、ここに居るメンバーだけでも、練習しよう」
あずささんが集まれなかったメンバーにビデオを渡す事を提案し、ビデオカメラを借りに行く真。
雪歩はあずささんに柔軟の補助を頼む。
着替えようとして溜息を漏らしてしまう春香さんと、それを横目で見ている千早…
そして、日も暮れた帰り道。
千早「今朝、早かったんでしょう?」
春香「うん。…あれ? どうして知ってるの?」
千早「音無さんに聞いたわ。レギュラーのラジオ収録、朝からに変更してもらった、って」
春香「うん。そうしないと、今日の練習、来られなかったから。スタッフさんが『そーゆー事情なら』って言ってくれて」
千早「……。」
足を止める千早。
春香「うん? 千早ちゃん?」
千早「…春香、私、明日からの海外レコーディングをずらして貰うよう、プロデューサーにお願いしてみる」
春香「えっ!?」
千早「この状態でライブをするのは、私自身が納得できない」
春香「ダメだよ千早ちゃん、行かなきゃ」
千早「…春香?」
春香「プロデューサーさん、言ってたよ。今度の海外レコーディングは、千早ちゃんの今後を左右するものだって、だから、色々準備もして来たんでしょ?」
千早に歩み寄り、その手を握る春香さん。
春香「大丈夫、みんな練習したい気持ちはあるんだし…。あ、でも、ニューイヤーライブの日には、帰ってきてね」
千早「それは、もちろん」
春香「だったら、行って来て」
千早「うん」
春香「ちょっぴり、寂しいけどね~」
春香さんが不安そうな顔の千早を笑顔に変えた瞬間に、ぶわーっと昂ぶってしまった。
「明日からしばらく海外」の千早と、寂しく感じながらも笑顔で送り出す春香、あぁ、もう、何と言うハルチハなシチュエーション!(←黙れ)
それはともかく、しばらく千早の登場は無いと言う事ですね。
帰宅して、自室にて愁いの表情で今日撮ったビデオを見ている春香。
翌朝、夜明け前に家を出た春香は、あの長い電車通勤の間に、再び皆にメールを送る。
春香「提案です。次の全体練習までの間、現場が一緒の人が、何人かずつでも集まって練習しませんか? そうした方が、絶対絶対いいと思うんだ。みんなで、一緒に頑張ろうね」
そして、今日の現場は吉本新喜劇のようなセットで響と貴音が…
響「なんでやねん!」
貴音「そっちこそなんでやねん!」
セットの外では春香と亜美が待っているが…
真美「なかなか終わんないね」
春香「うん」
セットの上から手を合わせて遅れている事の謝意を伝える響に、春香は手を振り、真美は頭の上で大きく丸を返す。
春香「二人で始めちゃおっか」
真美「ゴメンね、はるるん。もう時間切れなんだよ」
春香「え? そうなの?」
真美「うん…」
春香「そっかぁ…じゃあ、明日の全体練習で、頑張ろっか」
やべっ、春香にハグする真美が超かわいい…
が、それはそれとして、翌日の全体練習。
雨の降り頻る新宿、誰もおらず真っ暗のスタジオ。
携帯電話の呼び出し音…
春香「はいっ、天海です」
律子「あっ、春香。今日の全体練習ね。中止になったのよ。どうしてもみんなのスケジュールが取れなくて…」
あぁ、やっぱり。
そして、ひとり事務所に戻る春香さん。
雪ではない「1月の雨」の描写がとても寒々しい。
小鳥「あら、お帰りなさい。春香ちゃん」
春香「ただいま。…あの、プロデューサーさんは…」
小鳥「居るわよ。電話で打ち合わせしてるけど」
ニューイヤーライブの打ち合わせをしている赤羽根P…
P「そこはあくまでも、お客さんとアイドルの盛り上がりを最優先にしないと…ええそうです。それがみんなで作る765プロのライブなんですよ…」
その様子を聴いていて、そのまま事務所を出た春香さん。
ドアの前でまた自分の頭をコツンとして…今、ギュッてした!!(ああ、ギュッてしたな)
挫けない事は褒めてあげたいのだが、押してダメなら引いて見ろと言うか、少し考え方を帰るべきではないか。
春香をちゃんと見ている千早でも、若干「非コミュ」なところがあって周囲とのベクトルの違いに気付けていないし、赤羽根Pは忙しさのあまりここ最近は春香を十分に見てあげられてないようだし、これまで一番安定していた、問題の無かった子だけに、春香の行き詰まりに誰も気付けていない…
CM
「化物語 音楽全集」のCMが、「アイドルマスターブレイク!」3巻の限定版特典CDを思い起こさせるのは仕様です。
あれは本当にいいCDだった。掛値無しに!
Bパート
真「昨日はホント、ゴメン! スタジオに向かってる途中で呼び戻されちゃって、それで…」
春香「大丈夫だってば。その話、昨日もずっと電話で聞いたし。それより、本番までまだ時間あるから、雪歩と三人でライブの練習をしようよ」
控え室でのやり取り。
真の後ろのハンガーに掛かってるのは、もしやDLC衣装「スノーフレークリリパット」?
真「…春香、まずは今日の生放送を重点的にやろうよ」
真が視線で示した先では、雪歩が目を閉じてヘッドフォンで曲を聴いている。
漏れている音は「Little Match Girl」。
真「『Little Match Girl』は初披露の新曲だし、それに生放送なんだ。失敗は出来ない。雪歩もセンターの重圧に負けないように頑張ってる。僕達も、今のこの瞬間を頑張ろうよ」
全くである。
目の前の仕事を疎かにしていいわけが無い。
そして、雪歩、春香、真の三人ユニットで披露される「Little Match Girl」。
「スノーフレークリリパット」風の衣装で、ゲームでも6thライブのステージでも見たあのダンスが再現される。
が、曲のアレンジは結構違うかも。これはCDが楽しみ!
ってか、LMGはすっかり雪歩曲・あずみん曲扱いになったなぁ。
曲を終え、舞台袖で春香に抱きつく雪歩。
雪歩「春香ちゃん、私、今日は失敗しなかったよ」
春香「うん、すごかったよ、雪歩」
真「雪歩、メチャクチャかっこ良かったよ!」
雪歩「ありがとう、真ちゃん」
雪歩、本当に立派になったね。なんか胸が熱くなるね。
だがその一方で、一人一人がこれまでよりも更に一歩進んだプロ意識で取り組む中、春香さんとの意識のすれ違いがハッキリし始めている。このギャップは埋められるのか?
シーンは変わって、「生っすか!?サンデー」生放送のスタジオへ。
御存知の通り、海外レコーディング中の千早はお休みなわけですが…。をい、扱いに悪意を感じるぞ!w
美希「さぁ、今週もお別れの時間だよ。また来週、会いましょうなの」
春香「それでは、せーの!」
春香・美希「「生っすか~!」」
スタジオ観覧者「サンデー!!」
真美と雪歩・真はスタジオ中央のモニターから手を振っている事から、中継先に居るものと思われる。
で、それ以外は全員スタジオに居るのかな?
ディレクターから「はーい、OK」の声が飛んだ途端に崩れ落ちる一同。
あずさ「今日は過激でしたね~」
亜美「うぇ~」
やよい「身体が痛いです~」
響「大丈夫か?」
律子「美希、早くしないと、間に合わないわよ」
美希「ゴメンね、春香。今日も練習、行けそうにないの」
春香「う、うん…」
律子「ちゃんと台本を読んでおくのよ」
美希「はいなの」
律子「みんなは少し残ってて頂戴。報告があるの…」
美希はすぐ別のお仕事か。
あずささん・亜美・貴音がスタジオ上手雛壇、やよい・伊織・響が下手雛壇で、色違いのTシャツを着ている事から、2チームに分かれて身体を動かす対戦的な事をしていたものと想像できる。
春香「…打ち切り?」
律子「ええ」
伊織「どうして?!」
亜美「視聴率ってやつ?」
ディレクター「いやぁ、視聴率はいいよ、ホント。ウチとしても続けたいんだよ…」
番組プロデューサー「実は、他の番組から『日曜日を丸ごと押さえるのはやめてくれ』って言われちゃって」
一同「そんなぁ…」
律子「すみません。お世話になった番組ですから、何とかやりくりしたかったんですが…」
いや、まぁ、最初から無茶な番組だなぁとは思ってたんですよ。
全員売れっ子になってる状況で、その全員を同時に生放送で押さえるとかって、他の仕事に差し障りますよね。
亜美「そっかぁ」
あずさ「残念ですねぇ」
響「楽しい番組だったけどなぁ」
ハム蔵「ぎゅ!」
貴音「始まりがあれば、終わりもあるもの」
伊織「まぁ、とにかく、最後まで頑張りましょう」
やよい「うっう~! 頑張ります~」
律子「そうよ。最終回まで楽しく面白く、ね?」
一同「はい!」
春香「…はい↓」
そう、「みんな」に拘り過ぎる春香さんにとって、一週間で唯一「みんな」が揃うこの番組の意味は、他の子とは異なってしまっている。
かなりショックだったようで、最後まで控え室で項垂れている春香さん。
律子「大丈夫? 春香」
春香「は、はいっ」
律子「…はい、ミュージカルのスケジュール。立ち稽古は明日の20時からね」
春香「えっ? でも、その時間は、練習をみんなでって…」
律子「分かってる。でも、この仕事は春香と美希にとって、とても大切な経験になるわ。ライブとどっちが重要、とかじゃないのよ」
春香さんはこの時点で納得していないのだろう。
そして、遂にミュージカル「春の嵐」の立ち稽古が始まる。
美希「どんなに覚めようとも、私はまた夢を見るだろう。星の数ほど夢はあれど、私の見るのは、あの太陽のように輝き、熱く燃える…」
演出家「ストップストップ! 天海、交代しろ」
春香「は、はいっ!」
演出家「いいか? 俺はお前達のどちらかに、この作品の主役をやらせるつもりだ。とにかく、全てを出し切れ。全てを見せろ。この役に自分を、ぶつけるんだ!」
おぉぅ、アニマス中でもっとも強面な感じの人が現れたぞ。なんかカッコイイぞ。
休憩時間、疲れた表情でタオルに顔を埋める春香さん。
近くに美希が座って水を飲み始めたのを見て、近付いて隣に座り直す。
春香「噂通り、厳しい演出家さんだね」
美希「うん、でも美希、これくらいへっちゃらなの!」
春香「美希が一緒で良かったぁ。あたし一人じゃ、もう挫けちゃってたかも。どっちが主役になるか分からないけど、一緒に頑張ろうね」
美希「……それはイヤなの」
春香「えっ?」
ここでピアノインストの「relations」とか嵌り過ぎだろ。
ヤバイ、これは色々と胸に込み上げて来る。
美希「美希、絶対主役をやりたいんだ。これは、ハニーが美希にくれたチャンスだって思うし、主役の美希をハニーに見てもらいたいの。だから、一緒に頑張るって言うのは、ちょっと違うって思うな」
この作品の演出家が求めている役に対する向き合い方を考えれば、明らかに美希が正しい。
その覚悟の無い春香は、この先の評価が厳しい事になるだろう。
春香は、そこまでしてこの仕事を続けたいと思うだろうか。
一人夜道を帰る春香。
頭を過ぎるのは、真っ暗なスタジオ、出発前日の夜に話した千早、ニューイヤーライブの打ち合わせ中の赤羽根P、LMG初披露の生放送前の真、LMGを披露する雪歩、「生すか」打ち切りを告げられた時の皆の様子、そして、ついさっきの真剣な表情の美希。足を止める春香…
春香さんの足はいつものように事務所へ。
しかし、もう夜も遅く、事務所には掃除をしていた社長ひとりだけ…
社長「プロデューサー? いや、今日は見て無いねぇ。たぶん、誰かの現場に付き添いで出掛けているんじゃないのかね」
春香「そう、ですよね…」
社長「何か、急用かね? 私の居る間に戻ってきたら、電話をさせるが」
春香「いえ、大した事じゃなんです。お疲れ様でした。失礼します」
社長「あっ、あぁ…」
あぁ、やっぱあの規模の会社なら社長は自分で事務所の掃除するよな。
それはそれとして、翌日もミュージカルの稽古が続きます。
春香「私は歌う! 誇り高き、夢のため!」
演出家「(手を二回打って)交代しろ!」
やっぱりと言うか何と言うか、明らかに演出家からの評価は宜しくない。
演出家の手元の「東京文化劇場・新装記念公演 春の嵐」と題したキャスト候補の表には、「主役 アンナ / 準主役 レイラ」として春香と美希の名前が並んでいるが、春香の横には「うーん…?」、美希の横には「元気…!!」と赤字で書かれている。既に印象面でハッキリ差が付いてしまっている模様。
休憩時間にも、美希だけが演出家から指導を受けている。
それを横目に見ている春香に…
P「なんだ? 元気無いな。陣中見舞いに来たぞ」
どら焼きを差し入れに持って来た赤羽根P、
P「舞台、どうだ? 楽しいか?」
春香「…はい、楽しいです。勉強になること、いっぱい、あるし」
P「そうか」
春香「……。」
どう見ても楽しそうではない語気と暗い横顔に、赤羽根Pから切り出す。
P「昨日、事務所に来てくれたんだって?」
春香「……。」
P「俺に、何か話しでもあったのか?」
春香「………あの…」
P「うん?」
春香「私…」
美希「ハニー! 来てくれたの?」
P「あっ、…美希」
美希「あのね、美希、頑張ってるよ。ね? 春香」
春香「う、うん」
P「そうか…、先生のお説教は済んだのか?」
美希「ぶー! お説教じゃないの。演技指導なの」
P「あぁ、ゴメンゴメン。あぁ、美希、どら焼き貰ったか?」
またしてもタイミングを逸してしまった春香さん。
Pはそのタイミングだと思ったからこそ時間を作っただけに、これではなんとも…
美希と赤羽根Pの様子に、春香は再びその気持ちを胸の中へ仕舞い込んでしまう。
P「ごめんな、春香。さっきの続きを…」
春香「いいえ、いいんです」
春香は赤羽根Pの隣から立ち上がり、ステージ中央側へ歩き出す。
また、自分の頭をコツンと叩いてから振り返る。
P「春香?」
春香「……何でもありません。いいんです」
そのまま、後ずさる様に赤羽根Pから距離を取ってしまう春香…
P「いいって、お前…」
春香「…いいんです。ホントに…」
その後ろには、さっきまで稽古で上げ下げしていた迫(セリ)が降りたままになっており、奈落(舞台下)が真っ暗な口を空けていた。
右足を踏み外す春香。その春香の腕を掴み、引っ張り上げて反対側へ突き飛ばした反動で、その身を奈落へと投じる赤羽根P…
Ending
暫く黒地のままスタッフロールが続き、最後に止め絵が5枚。
病院の廊下に立ち尽くす社長と美希、小鳥さんとりっちゃん、そして、涙を流し続ける春香さん…
曲は新曲「見つめて(Instrumental)」だが…、これは次回歌詞付きで聞けるのだろうか。
総括
と言う訳で、我等が赤羽根Pが一時退場となってしまいました。
うん、予想の範疇と言えば範疇ではあるのだが…ホント、すまんかった。
ADVならば結末をハッキリと分かつ状況です。
春香は何のためにアイドルをするのか。こんな状況でそれに向き合えと言うのも可哀想な話なんですが…
ちなみに、我がTLにはアニマスからアイマスに入った人が全く居ない、ほぼ全員がPと言う状態ですので、23話後の一般的な反応は「なんか頭を打ったみたいで記憶がハッキリしない」でしたw
流石に「俺死にました」等と自己申告する人はおらず、そりゃそうか。